『残業上限月100時間』でわかる日本のストレス社会

過労死ラインが『月の残業80時間』なのに、政府と合意された繁忙期の残業上限が『月100時間未満』だった件。(2019年11月更新)



 

 

コダモンです。(@_kodamon

 

 

日本の働き方が嫌になって、さっさと転職しました。

 

 

ドイツの大学を卒業してから日本に戻り、ついこの間まで日系の大手企業に4年半就職していました。東証1部上場の比較的大きな会社です。

 

 

その会社は、人によっては「うらやましい!」という声も聞こえてくるような、まぁまぁ有名な大手残業代もちゃんと出るし給与も悪くない、優良企業。

 

 

でも…。日本の社会人生活は『ありえない』の連続でした。

 

 

日本の会社組織とそこでのルールや慣行は、グローバルスタンダードからかけ離れています。

 

 

その中でも特にヒドイのが、日本の会社の『残業』です。 

 

 


1. 『月の残業100時間未満』の合意は異常

 

 

日本が『働き方改革』を推し進める中、残業に関してこんな内容の記事を目にしました:

 

 

「『きわめて忙しい1ヶ月』の上限を、『100時間未満』(連合)と、『100時間』(経団連)にするかが論点で、お互いに主張して譲らずに対立が続いていた……。」

(出典:朝日新聞Degital [2017.04.22.])

 

 

これはヤバい。

 

 

政府が導入をめざしている「残業時間の上限規制」の件です。

 

 

要するに…。

 

 

忙しい時期の残業上限を『100時間未満』するか、それとも『100時間』にするか?

 

 

それが、国レベルでの議論になっていたようなのです。

 

 

でも、ちょっと待ってください。

 

 

コレ、おかしくないですか?

 

 

なんで「残業することが前提」になってるの?

 

 

しかも100時間って…。もう、本当にありえない次元の話です。

 

 

この議論は結局『100時間未満』で落ち着くらしいのですが、その結果なんてもう正直どうでもいい。

 

 

「残業は当たり前!」という職場環境の中で、毎日毎日残業をしながらストレスまみれで働く会社員の姿が想像できます。

 

日本での月の平均残業時間は「47時間」です。20日換算でおよそ1日平均2.3時間の残業。日本の会社員は定時で帰ることが難しく、もはや残業は避けては通れない道なのです。

 

 

わたくしコダモンが以前勤めていた日系企業でも、上司や同僚たちはみんな毎日残業していました。

 

 

 

本来、企業組織というものは、社員が定時で帰れる仕事量を上司がしっかりマネジメントする必要があります。

 

 

でも、残念ながら日本ではそれが破綻している。 

 

 

日本の職場では、「会社に長く残って働いている」ということが「頑張っている!」「会社に貢献している!」と認識される。とてもお粗末でおバカな考え方です。

 

 

効率や採算などは度外視で、上司も部下も集団行動で残業する。社内の人間も取引先の顧客も、みんな思考停止で残業しています。

 

 

その集大成が、今回の『月の残業100時間未満』ではないでしょうか。

 

 

 

でも…。よく考えてみてください。

 

 

この「100時間」という数字はどう考えてもおかしい。

 

 

過労死ラインと言われる「月80時間」を超えているのです。

 

 

現在の労働行政では、過労死ラインは80時間 (月に20日出勤とすると、1日4時間以上の残業・12時間労働) とされています。

(出典:労働問題弁護士ナビ [2017.04.22.])

 

 

このあたりに、日本の労働環境の闇を感じます。

 

 

「過労死ライン」という言葉もコワイですけど、それを基準に80時間という長時間労働が決められているのは恐怖でしかありません。

 

 

「毎月80時間以上残業してると、心身に支障をきたして死んじゃうかもよ!?」

 

 

そういったメッセージが込められるのが、過労死ラインです。

 

 

それなのに、今回の議論では過労死ラインを超える100時間に残業上限が設定されています。

 

 

もはや理解不能。

 

 

働く人間の脳裏に『死』がチラつくほど、長時間労働をさせるつもりなのでしょうか?

 

 


2. 残業まみれの日本の会社員

 

  

今回の「100時間」という議論は、繁忙期の残業時間の上限です。

 

 

要するに、「会社が忙しい時期には100時間くらい残業をする人がいてもOK!」ということですね。

 

 

しかし…。それでも相当ヤバいと感じます。

 

 

わたくしコダモンは、そもそも「社員が100時間も残業しなければ繁忙期が乗り切れない職場は、もっと人を増やせ!!」…と、声を大にして言いたい。

 

 

日本の会社は「残業が当たり前」で職場がまわっています。その理由は、年功序列や終身雇用の名残もあって『社員がどうせ辞めないこと』を想定内としているから。組織や上司はそれに甘えて長時間労働を要求するので、慢性的なストレス職場が出来上がります。

 

  

コンプライアンスなどは完全に無視で、みんなエンドレスで残業をしている日本。

 

 

そこには古い慣行や『根性論』など時代遅れな考えも存在するので、「ウチの部署は昔からそうだったし、これからも変わらない」といった意味不明な理由で長時間労働を正当化する人もいる。

 

 

さらにさらに、日本の職場には集団行動が存在します。これが残業に追い打ちをかける。

 

 

「みんな残業するのだから、1人だけ帰るのは自分勝手だ!」

 

 

「1人だけ別行動して職場の和を乱すな!」

 

 

そうやって集団行動が美化され、どこにも逃げ場がないストレス環境が生まれやすい。

 

 

日本の職場には、「残業が当たり前!」という環境がいくらでもあるのです。

 

 


3. ドイツに残業が無い理由 日本とはここが違う!

 

 

これまで「日本ヤバい」を連呼してきましたが、それには理由があります。

 

 

今回紹介した『月の残業上限100時間未満』を疑問視するのにも、もちろんちゃんとした理由があります。

 

 

それは、ドイツは残業が無いのに仕事も会社もまわっている!

 

 

これを知っているからです。

 

 

日本とドイツの両方で社会人をしてみた結果、『残業』に関しては天と地ほどの差があることに驚愕しました。

 

 

ドイツ人の働き方を実際に体験して実行してみたら、改めて「日本ヤバい」とはっきり言えるようになったのです。

 

 

『ワーク』が先行して長時間労働が当たり前な日本に比べて、ドイツでは圧倒的に『ライフ』が重視される。まさにワークライフバランスの天国です。

 

 

ドイツでは基本的に残業代が出ません。その理由は「残業が無いから」であり、残業をした分の時間は別日に早退したり代休にあてがわれます。ドイツの職場では1日10時間以上の労働が原則禁止で、長時間労働はコンプライアンスで徹底管理されています。

 

 

ドイツで残業が基本的に発生しない背景には、"JD" (Job discription, 職務記述書) の存在があります。要するに、上司はその契約書に定義されいる範囲内の仕事しか要求できないのです。

 

 

日本のように、雑務やムダ会議への参加をうながすことは、ドイツではできない。

 

 

ドイツは個人主義と実力主義の社会であるため、ドイツ人に集団行動を期待して残業させることはできないのです。

 

 

ドイツでは実際に、「木曜日に残業して19時まで働いたから、明日の金曜日は14時に帰宅!」みたいな働き方ができます。

 

 

プライベートの時間をとても大事にするドイツ人は、日本のような慢性的な残業の現場には身を置きません。仮にそんな職場が存在したら、人が定着しないでしょう。

 

 

ドイツ人による企業への帰属意識はとてもサバサバしています。個人主義なので、みんなどしどし転職します。

 

 

そのせいもあって、日本のように「どうせみんな辞めないから」という甘えた組織経営は成り立たないのです。

 

 

 

 

 

実際ドイツでは平均およそ4年で転職が行われています。

 (参照元:StepStone, [2017.04.22])

 

 

そのような環境のドイツで、今回テーマにした『繁忙期の月の残業上限100時間未満』というヤバい基準は…理解されない。

 

 

「クレイジーだ!」と言って誰も相手にしないでしょう。

 

 

 

日本で議論されている働き方改革は、そもそもグローバルスタンダードからは遅れています。そして、『繁忙期の月の残業上限100時間未満』という基準は異常。

 

 

 

グローバル化が進むこれからの日本社会では、このようなヤバい残業事情を撲滅する必要があります。

 

 

海外から置いてけぼりになるだけでなく、そのような劣悪な労働基準ではグローバル人材が定着しません。

 

 

日本で働く会社員の残業時間が少しでも短くなるように、今後の動きに注目です。

 

 

コダモン

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