毎朝の掃除を『ルール化』する不効率な日本の職場

ドイツで学生時代に初めて日系企業の面接を受けたら、『そうじの時間』があることを知らされてドン引きした。



 

 

コダモンです。(@_kodamon)

 

 

「そうじの時間」って、学校の時にありましたよね?

 

 

関東のド田舎で生まれ育ったわたくしコダモンは、地元の小中高に通っていた当時は「そうじの時間」がありました。

 

 

授業が終わった後、放課後になる前の15分ほどの時間を使って、グループに分かれてワイワイガヤガヤと掃除をする時間。

 

 

小学生の時などは、真面目にせっせと雑巾掛けなどをしたものです。

 

 

そうやって学校の教室などを生徒自身に清掃させる習慣は、日本独特の慣行です。

 

 

海外の学校にはちゃんと外注の清掃員がいて、子供達が帰った後に一通りキレイにしていきます。海外の学生からすれば、自分で自分の学校を掃除する行為は考えられません。

 

 

そんな日本の伝統とも言える『そうじの時間』。でもそれが、社会人になってからも実行させる職場があると知ってマジで引きました。

 

 


1. 面接で知った職場の『そうじ』の存在

 

 

わたくしコダモンはドイツの大学に通っていたのですが、その在学中に、とある日系企業と面接をする機会がありました。

 

 

当時の自分はインターンができる企業や研修先を探している最中で、ドイツに進出している日本企業でお世話になりたいと考えていました。

 

 

 

 

都合良く、とある大手食品会社のインターンの案内が構内に出ていたので、さっそく応募。その結果、書類審査に通ったのでした。

 

 

その企業からすれば、現地のドイツ人学生に研修をしてもらい、あわよくばそのまま卒業後に就職してもらう……という狙いです。

 

 

何はともあれ、そのまま運良く面接のはこびとなり、面接当日。

 

 

面接場所に指定されたのは、市内のカフェ。

 

 

「…んっ?」ちょっとした違和感を覚えつつ、とりあえずその場所に向かいました。

 

 

面接官は、担当者レベルの方が1人のみ。まぁ、本採用ではなく研修要員の面接なので、お金も時間も省略したかったのでしょう。指定された場所がカフェだったのも、あくまでカジュアルな面接だと考えれば納得もいく。

 

 

まず、面接をスタートする前に、その場でエントリーシートのようなものを記入させられました。自分のプロフィールや学歴、志望動機などををスラスラと書きます。

 

 

30歳前後を思われるその日本人面接官は、コダモンが記入した内容に目を通しながら「ふんふん…」と読んでいる。そして、そこから面接がスタート。

 

 

現在の専攻に関する質問から、どのような仕事を期待しているか等々。悪くない雰囲気の中、基本的な質疑応答なども全て日本語で行われました。

 

 

そして、面接も終盤に差し掛かった時…。事件は起きました。

 

 

「わかりました。ドイツ語も堪能ということで、ウチとしてはお任したい仕事もたくさんあります」

 

 

そのようにも言ってもらえて、好感触を感じていた、次の瞬間…。

 

 

 

「…あ、あとちなみにウチは海外でも毎朝掃除をするんですけど、ソレは大丈夫ですよね?」

 

 

 

……「ん??」

 

 

その意味がわからなくて、一瞬フリーズしてしまいました。

 

 

「そうじ」って…え? どういうこと?? 

 

 


2. 毎朝集団的に『そうじ』をさせられる職場の闇

 

 

『毎朝職場を掃除する』ということの意味がわからずに、困惑するドイツハーフ。

 

 

 

思わず「すみません。どういうことですか?」と、直球で質問を投げ返してみます。

 

 

詳しく聞くと、その会社ではどうやら本当に、デスク周りなどを毎朝一斉に清掃する時間があったのです。

 

 

協調性が強く求められる日本社会では、朝礼や朝掃除を毎日欠かさず行うことを慣例化している会社もあります。始業時刻前にみんなで掃除をすることは、任意の自発的行動では無いにも関わらず労働時間にもならない『半ば強制の時間』である場合が多いです。

 

 

毎朝決まった時間に、社員みんなでせっせと清掃活動をする『そうじの時間』がある会社。

 

 

「なるほど…」と、ついついわかったようなわからないような、曖昧な返答をするコダモン。この時は完全に目が泳いでいました。

 

 

「大丈夫ですよね?」という質問だったので、思わず「大丈夫です」と応えました…が。

 

 

正直なところ、この瞬間に自分の心はポッキリと折れていました。その後の面接官との会話も、心ここに在らず。

 

 

そしてあとは、「面接よ…早く終わってくれ!」と祈るばかりでした。

 

 

 

何しろ『そうじの時間』です。

 

 

昔は学校で散々やってきましたが、何が悲しくて小学生や中学生の時代に逆戻りしなければならないのか。

 

 

ドイツで大学生活を送り、海外スタンダードから物事を考える自分にとっては、この時の面接官の言動は衝撃でした。

 

 

日本の学校で学んだ集団行動が、『そうじの時間』として、社会人になった後でもついてまわるなんて。しかも、ドイツという異国の地でもしっかりと実践しているだなんて…!!

 

 

 


3. 非効率のド真ん中を行く日本の会社

 

 

結論から言ってしまえば、そもそも『掃除をする・しない』は各自の裁量に任せるべきでしょう。

 

 

「いやいや…もう子供じゃないんだから!」と、面接の途中で受けたショックは大きかったです。

 

 

 

小中高と学校で掃除を経験してきて、大学に入ってそれから解放される。そして、日系企業への就職をキッカケにまた『そうじの時間』に逆戻り…!? 

 

 

職場を掃除をすることで「信頼関係が生まれる」「心が磨かれる」などと言われますが、それはナンセンス。労働の対価として報酬(賃金)を受け取ることで成り立つ雇用関係において、労働時間に含まれない行動は単純に不効率なのです。

 

 

そして、このような会社における『そうじの時間』のもう一つの問題点は、日本にありがちな集団行動にあります。

 

 

要するに、日本の企業組織は同調圧力が強いので、このような毎朝の掃除は決して自由参加とはならないのです。

 

 

ちなみに、この歴史ある日系の大手食品会社は、ドイツでも本国同様に毎朝掃除を欠かさず行っていたようですが…不思議です。

 

 

なぜなら、これはドイツではありえない話だからです。

 

 

ドイツには、そもそも生徒が学校を掃除をするような習慣がありません。

 

 

ドイツ人は『公共の場を掃除する』という事を知りません。

 

 

ドイツでは、私有地以外を掃除するいかなる行為も、ボランティア活動のような位置付けとなるでしょう。

 

 

ドイツや他の欧米諸国には、そもそも日本のように集団行動的に行う「掃除の習慣」が存在しないのです。

 

  

ドイツ人を職場で一斉に『掃除させること』は不可能でしょう。それほど『非日常的なこと』だからです。

 

 

 

日本のように「人に仕事をあてる」のではなく、「仕事に人をあてる」欧米諸国では、社員が契約書で合意した以外の仕事(雑務など)をさせるのは至難の技です。掃除のためには当然清掃員がいて、仮にデスクまわりが汚れていてもそれは個人の問題です。集団的に社員の働き方をコントロールする日本のようにはいきません。

 

 

さらにさらに。

 

 

合理性を重視する欧米人には、社員自らが掃除をすることのメリットを理解させることが難しい。

 

 

オフィスを清潔に保つのは清掃員の仕事であり、そのために人を雇っている。日本でも同様ですが、その事実に対する社員の『考え方』が日本と海外では違います。

 

 

例えばこの『そうじの時間』。これを『時給』で考えてみてください。

 

 

オフィス勤務者に、毎朝決まった時間に掃除させること。

 

 

 

これって、とても高給な掃除です。

 

 

 

清掃員の方々は、ちゃんとお給料をいただいてオフィスを掃除してくれている。それなのに、さらに追加で、しかも高給取りのオフィス勤務者に毎日掃除をさせること。明らかに不効率だと思いませんか?

 

 

 

週平均40時間における1ヶ月(22日)の総労働時間は176時間です。仮に平均月収が30万円の社員が30人いるオフィスでみんなが毎日15分の『そうじの時間』を行ったとしたら、毎月約28万円かかっている計算になります。社員1人分の月収と同等の支出ですね

 

 

職場で仕事の一環として、労働時間として掃除をさせるにしても、非常に高価であることがわかります

 

 

しかしながら実際の現場では、日本は残念ながら残業などで簡単に相殺されてしまうことでしょう。これも、日本の職場の闇の部分です。

 

 

 

 

ただし、個人主義であり成果主義の色が強い海外の職場では、そうはいかない。外国人を理由なく残業させることはできないし、そもそも『掃除をする意味』すらも見出せない。

 

 

このような明らかに効率が悪い働き方は、海外では通用しません。

 

 

わたくしコダモンが、ドイツの学生時代に経験した、日本の大手食品メーカーとの面接。そして、そこで初めてその存在を知った『職場での掃除』。

 

 

 

「それがウチの企業理念だ!」と言われれば、それまでですが…。

 

 

『個』の働き方を尊重する欧米諸国、そして昨今のグローバル化が進む世界のビジネス現場からは、完全に出遅れている。

 

 

そして、そのような古い組織体制と慣行を継続するような会社には、今後は人が集まらないかもしれません。

 

 

海外だけではなく、少子高齢化と人手不足が続く日本においても、このような働き方は早急に見直す必要があるのです。

 

 

 

コダモン

 

  


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