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ハーフが語る「ハーフの子を産みたい方に。」広告の問題点

「ハーフの子を産みたい方に。」という宣伝文句で若い着物女性をポスターにした騒動。炎上した理由を現役ハーフが解説します。



ハーフを "イケメン" "美人" と勘違いする日本

 

 

「ハーフの子を産みたい方に。」――。

 

 

呉服店の「銀座いせよし」が、このようなメッセージと共に広告ポスターを制作していたみたいです。

 

 

ニュースによると、ポスターでは着物姿の女性が歩く姿にこのキャッチコピーが用いられた…とのこと。

 

 

巷では、これが今更ながら炎上騒動になっているようです。

 

 


1. そもそも何が問題なのよ?

 

 

「ハーフの子を産みたい方に。」――。

 

 

このようなキャッチコピーで、若い着物女性をポスターにする事。その意図は単純で、この呉服店は商品のマーケティング戦略の一つとして…。

 

 

 

「着物を着てる女性は外国人にモテるよ! だから着物を着よう!」

 

 

 

こう言いたかったわけですね。そして、これに日本の若い女性たちが食いつくと判断したというわけです。自社製品の販促目的で、「外人ウケ」を狙う戦略が良いと思ったのでしょうか。

 

 

その結果として、「外国人ゲットできたら、ハーフの子が産めちゃうよ!」という宣伝メッセージにつながった…と。ちょっと低俗な発想でビックリします。

 

 

いずれにせよ、何を勘違いしたのかこの着物屋さんはこのような戦略で「イケる!」と判断したわけですね。そして、それをそのまま広告のポスターにしてしまった。

 

 

そうして世に出たのが、冒頭の「ハーフの子を産みたい方に。」というキャッチコピー。そして案の定、今のご時世に相反する内容で炎上

 

 

まず、結論として、わたくしコダモンが思うこのキャッチコピーの問題点を2つあげます。それは、

 

 

誰も得をしていないこと

 

 

そして、

 

 

混血の子供を”モノ扱い”していること

 

 

この2つです。

 

 


2. 「着物を普通に着たいだけの女性」にも飛び火

 

 

今回のキャッチフレーズは、単純に下品です。

 

 

日本の伝統を守る立場にいるはずの呉服店が、「ハーフの子を産みたい方に。」というフレーズを用いる事で着物という日本固有の文化を『安くて薄っぺらいもの』にしてしまいました。

 

 

『着物を着る』という行為が、間接的にではありますが、ここでは性行為を連想させるようになっています。「ハーフの子を産みたい方に。」というフレーズの意味合いは、こうだからです:

 

 

「着物着たら外人にナンパされるかもよ !」

 

⬇︎

 

「その外人との間に子供できたら『ハーフの子』だよ !」

 

 

という…何とも思考停止で低俗な宣伝文句なのです。

 

 

着物を着た若い女性と、「ハーフの子を産みたい方に。」というワード。こんな下品なポスターでは、今の若い女性の着物購買意欲につながるとは考えられない。

 

 

「えっ、着物着たら外人ゲットできるの? よし! 着物着よう!」

 

 

そんな風に思い立つアホな女性なんているの? いないでしょう。

 

 

着物は女性のための日本伝統の衣服なのに、ここでは販売店側が女性を軽視するようなメッセージを宣伝文句にしている、という事にもなります。

 

 

そもそも、外国人ウケを狙うものだったとしても、これは見る人によってはネガティブキャンペーンにもなる。

 

 

日本にいる女性がみんな『外国人ウケ』したいわけでは無いでしょうし。マーケティングの戦略として確実に間違っています。

 

 

また、これは個人的な意見かもしれませんが、『着物』と『モテ要素』って同じカテゴリーでいいの…? と、根本的な疑問を感じます。

 

 

女性が『おめかし』したりドレスアップする事と、「着物を着る」という事は、混同させてはダメなのではないでしょうか。家柄や仕事柄であったり、節目節目の特別な日に際して着物を着る女性が多いと思うのです。

 

 

それなのに、今回の「ハーフの子を産みたい方に。」のおかげで…。

 

 

着物を着ている女性は「外人にモテたいから」着物を着ている!?

 

 

そのように思われてしまう。

 

 

「ハーフの子を産みたい方に。」というフレーズを着物の着用と関連付けてしまっては、普段から着物を愛用しているだけの女性にとっては、本当にいい迷惑でしょうね。

 

 

このように色々な角度から見ても、炎上騒動にもなった今回のキャッチコピーは誰も得しないものだと思うんですよね。いったい何をどう間違えればこのような提案が社内で通ってしまったのか…理解に苦しみます。

 

  

そもそも、日本語のわかる海外の男性がこのポスターを見たら…。

 

 

「あれ、そうなの? 着物着てる日本人女性って俺らのナンパ待ち!?」

 

 

そうやって勘違いするでしょう (笑)

 

 


3. ハーフの子は “ステータス”? 残念な日本

 

 

「ハーフの子を産みたい方に。」――。この呉服店は、この低レベルで安易なキャッチコピーが『時代に合っている』とでも思ったのでしょうか?

 

 

確かに訪日外国人は増えているし、国際結婚も増え、昨今の日本ではいわゆるハーフをたくさん見かけるようにもなりました。

 

 

ドイツハーフでもあるわたくしコダモンは、20数年前、まだまだ希少価値が高い存在(?)として、周りからとても珍しがられたのを覚えています。

 

 

しかし、月日も経ち、30代でオヂサンになろうとしている今の自分は、都内を歩いていてもまったく注目されません。外国人なんて当然のようにその辺にいるし、自分と同じ”ハーフ”も今となってはその辺にゴロゴロ転がっているからです。

 

 

同時に、最近はメディアでもハーフタレントなどの露出がグンと増えたので、まだまだハーフは「イケメン」「美人」などの間違った先入観が日本にはあります。

 

 

こうした環境と意識の変化の中で、今回の「ハーフの子を産みたい方に。」というポスターが出来てしまったのだと想像します。

 

 

「着物を着てゲットした外国人と、なんやかんやでハーフの子を産めちゃうよ !」

 

 

「ハーフの子はかわいいよ !」

 

 

そういうメッセージが込められているわけなのですが、この「ハーフの子を産みたい方に。」というフレーズには、あたかもハーフが『特別な何か』とでも言いたいかのような印象を受けます。

 

 

「えっ? ハーフ特別でしょ? だって半分外人じゃん!」

 

 

そう思った方は、人権とか差別とかについてまず学んでください…。

 

 

ハーフもただの人間です。

 

 

混血を「ハーフ」などと定義して持ち上げたり持ち下げたりする、時代遅れな日本。欧米諸国などでは国際結婚も混血児も当たり前なので、そもそも『ハーフ』というカテゴリーを作りません。

 

 

ドイツで暮らしながら「半分日本人」として過ごすコダモンは、自分がハーフという事も忘れ、ドイツ人とも日本人とも意識せずに、単純に一人の人間として生活しています。多国籍な環境が当たり前なドイツ。

 

 

その反面、日本には未だに今回の「ハーフの子を産みたい方に。」に見られるように、人々の出自を見た目で判断する傾向があります。時代に乗っているどころか、世界から笑われてしまう環境です。炎上して当然のような『古い考え』を、そのままポスターにしちゃう日本。

 

 

ハーフの子供を授かる事があたかもステータスであるかのように大々的に宣伝してしまうところに、日本の残念な部分を感じます。

 

 

「着物着てれば外人寄ってくるよ!

 

 

「外国人男性は着物女子をお持ち帰りしたがるよ!

 

 

そのような低俗な『手段』をおおっぴろに宣伝して、その『結果』であるハーフの子は完全にモノ扱いなのです。

 

 

「ハーフの子は美形に育つよ!

 

 

「白人との間に金髪で青い目の子が産めるかもよ!

 

 

そのような時代遅れの期待と先入観、そして偏見の詰め合わせが、今回の「ハーフの子を産みたい方に。」の炎上騒動の本当の問題点です。

 

 

そして、それをすぐに問題視できない人が、日本にはまだまだ多く存在します。

 

 

現役ハーフとして、とても残念です。

 

 


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