顧客との上下関係を完全無視する海外企業の働き方

全て自己責任で働く海外の会社員は、たとえお客様が相手でも上から目線で強気にガンガン攻めます。



 

 

コダモンです。

 

 

ドイツで暮らしていると、店員がお客さんに対して強気の態度を取るシーンをよく見かけます。

 

 

それはかなり露骨で、日本人からすれば「うわぁ…」「感じ悪い…」と思ってしまうほど。

 

 

ドイツでは、レストランの店員が仏頂面(ぶっちょうづら)で働いている事はよくあるし、スーパーのレジでは、買った商品にキズがつくかと思うほど雑に扱われる事もある。ドイツ人は、仮にそれで自分がクビになる可能性があっても、自己責任で「自分が働きたいよう働く」のです。

 

 

そしてそれは、オフィス勤務の職場でも同じ。

 

 

法人営業の現場でも、ドイツ人は顧客の大手企業相手にガンガン上から目線で仕事をするのです。

 

 


1. 日本の「お客サマは神様」は異常

 


日本の社会人を4年ほど経験してきた、わたくしコダモン。大手企業相手にヘコヘコする『典型的な日本の営業マン』のスタイルを上司に教わりながら、「お客サマは神様」の精神を学びました。

 

 

ドイツハーフである自分は、そのような超低姿勢で働くことに戸惑いながらも、問答無用で日本式を叩き込まれた。

 

 

何はともあれ、自分が経験してきた法人営業は個人営業とは違い、モノを売る相手が『会社』になります。価格交渉などは顧客と個人ベースでのやり取りがあるにせよ、最終的には企業間のビジネスとなります。所属する会社の実績のおかげで、自分達よりさらに大きなメーカー相手にも営業ができる。

 

 

個人営業は目の前の人が「よし、買う!」と言って購入・契約をすれば成立ですが、法人営業では様々な部署を通す必要があります。時には経営陣の決裁も必要であり、そのプロセスはまったく異なります。

 

 

それでも、営業をかける側は、自社の製品や商品を「買ってもらう側」です。「買ってあげる側」であるメーカーなどの顧客は、安くて質の良いモノとサービスを提供できる企業から購入したいと思っています。この部分は個人営業と変わりません。

 

 

そのため、そこには本来ハッキリとした上下関係があるのです。

 

 

日本ではこれがとても明確で、まさに「お客サマは神様」といった働き方。

 

 

ドイツハーフである自分もたくさん経験した、自己犠牲の精神から来る働き方です。

 

 

顧客であるお客さんに対して食事やゴルフなどの接待をしたり、何か些細な問題があればすぐに飛んで行ったり、深夜まで残業して顧客の要求に応えたり…。

 

 

どしどしサービスをしつつ『良好な関係』を構築して、仕事をもらう。これが日本のやり方です。

 

 

当時の上司たちも、見ているこっちが悲しくなるほどヘコヘコしていました。

 

 

社内ではどっしり構えて威厳のある部長さんも、いったん会社の外へ出て顧客との打ち合わせになると、満面の笑みを絶やさない『イエスマン』になる。超低姿勢になるのです。よくもまぁここまで変われるものだと感心しました。

 

 

「それが日本の社会人だ!」「日本の常識だ!」と言われればそれまでですが…。その結果が、ストレス大国ニッポンとまで言われるほどの異常なストレスにつながっている。お客様を立てるあまり、「あれもこれも」と依頼が増えてしまい、納期まみれの中で仕事をするハメになるのです。

 

 

しかし、国が変われば働くスタイルも変わる。

 

 

ワークライフバランスの天国でもあるドイツではこのストレスが無いのです。

 

 


2. お客様に対して強気なドイツ人

 

 

ドイツで就職してから2年以上が経ちますが、海外の働き方とドイツ人の働く姿勢は、自分がこれまで日本の社会人として身に着けた常識を180度ひっくり返すほど衝撃的なものでした。 

 

 

ドイツ社会にはそもそも年功序列の考えが無く、基本的に人間関係はフラットです。

 

(合わせて読みたい) 

 

 

 

そのような事もあり、ドイツ人は顧客との上下関係を無視する事があるのです。

 

 

自分のドイツでの仕事内容は、日本にいた時と同じ法人営業。しかし、グローバルにビジネスを展開する大手企業を相手にする中で、ドイツ人の働く姿勢は日本のそれとは真逆です。

 

 

例えば、以前こんな事がありました。

 

 

わたくしコダモンが担当する、とある案件。顧客との打ち合わせの現場は、ビジネスを受注できるかどうか…という大詰めを迎えていました。

 

 

売上規模も大きな案件で、営業マンとしては目の前の大きなビジネスを何としても受注したいところ。これまで何か月も頑張ってきた集大成です。

 

 

しかし、顧客である大手メーカーの担当者は、少し困った顔をしながら「まだちょっと値段がねぇ…」と言っています。

 

 

こちらは既に「これ以上値段を下げられない」というベスト価格で条件提示をしています。それを知った上で、お客さんは「もっと下げろ」と言っているわけです。まぁ、ここまではよくある話。

 

 

しかし、次の瞬間…。

 

 

同席していたドイツ人上司が、突然声を荒げてこう言い放ったのです。

 

 

 

「もうウチはこれ以上は価格を下げない! そんなに安く提供できる会社があるなら、もうそっちに決めてくれ!」

 

 

 

まさかの半ギレ (笑)

 

 

隣にいた自分は、その声の大きさにビックリ仰天。思わず「ビクッ!」となった。

 

 

お客さんの要求に対して『日本式』に上手にお茶を濁そうとしていたコダモンは、この上司の突然の反応に一気に冷や汗が出ました。

 

 

(ヤバい。大丈夫なのかコレ…)

 

 

親会社やメーカーの下請けである自分達はビジネスが『欲しい側』で、打ち合わせの相手はビジネスを『提供する側』です。そのパワーバランスと上下関係は、誰がどう見てもハッキリしています。日本だったら、この状況下ではひたすら頭を下げてゴマをすっていた事でしょう。顧客に「もっと価格を下げろ!」と言われたら、それがいかにキツくても、「なんとか頑張ります…」とか「社内で再度検討します…」とか言っていたはず。

 

 

それなのに、怒鳴りにも似た声で、真っ向から反論してしまったドイツ人上司。

 

 

(こりゃあダメかな…)

 

 

そう思いながら恐る恐るお客さんの方を見てみると…意外や意外。けっこうニヤニヤしています。

 

 

 

「まぁまぁ…わかりました。ではまたこちらから連絡します」

 

 

 

そのような事を言われ、その打ち合わせはお開き。

 

 

無礼な態度を取られたはずなのに、“お客サマ” はまったく怒っていなかった。そして、ついさっきまで憤慨していたハズの上司も、笑顔で別れ際の握手を交わしています。

 

 

 

そして結果は…まさかのビジネス受注。

 

 

 

一体なぜ!? ホワイ・ジャーマン・ピーポー…??

 

 


3. 上から目線の下請け企業

 

 

一見ヤバそうな今回の状況は…実はドイツでは、いたって普通。

 

 

ドイツでは、たとえ下請け企業であっても大手企業に対して毅然とした態度を貫きます。

 

 

ドイツ人は物事を論理的に判断する傾向がとても強く、判断基準となる情報を集めて整理・分析しながら考える。

 

 

そのため、ドイツ人は断るべき事はキッパリと突っぱねます。民族性とも言えるでしょうね。

 

 

今回の上司の例で言えば、彼はビジネスを見極めるうえで、事前に社内のお偉いさん達と「ウチが対応できる限界はここまで」という事をしっかり決めていたのです。それを踏まえた上で、ギリギリまで価格を下げる努力をしていた。

 

 

そのため、最終的に “お客サマ” の要求を却下する準備はできていたという事になります。

 

 

このような状況下で、このベテラン上司は、打ち合わせの中でお客さんがしてきた要求を「ありえない」と瞬時に判断し、半ギレで真っ向から対応したのです。

 

 

そして、それによって顧客側にも「この数字がこの会社の本当の限界なのだ」という事が伝わり、結果的に功を奏した…という訳です。

 

 

日本では一触即発な状況も、海外ではいたって普通。

 

 

ドイツ人がこのように行動できる理由は、「自分が働きたいように働く」という姿勢を貫いているからです。

 

 

このスタイルをポジティブに解釈すれば、全責任を自分で負う覚悟ができているという事。逆にネガティブに捉えると…自己中心的。

 

 

事前に社内で口裏合わせがあったとはいえ、打ち合わせの現場で半ギレしたドイツ人上司の行動は、彼が自分で決めたもの。

 

 

一歩間違えれば両社の関係にヒビが入るような行動は、結果的にはビジネスの行く末を決定づける正しい手段だったのです。ただし同時に、本当に相手を怒らせてしまう可能性もあった、というわけですね。

 

 

相手が大手企業で『格上』であっても、物怖じせずに「こうするべきだ!」とハッキリ意思表示をするドイツ人。

 

 

下請け企業でも上から目線で仕事をするという事は、ドイツ人にとっては当たり前の働き方なのです。

 

 


4. 上下関係を無視して楽に働く

 

 

もっと単純な例も、たくさんあります。

 

 

「納期を守らない」「お客さんの要求をシカトする」など、ドイツで働きながらたくさん経験しました。

 

 

そしてそれらは、社外だけでなく自社の中でも起こります。

 

 

 

「簡単な仕事を依頼しただけなのに…もう1週間以上経ってるぞ!?」

 

 

 

「電話もメールもしたのに…まったく反応が無い!?」

 

 

 

このような事は、ドイツでは日常茶飯事です。

 

 

その相手が部下でも同僚でも、ドイツ人は各自のペースで、各々が勝手に優先順位をつけて働いているのです。

 

 

そして…いつしか気付いてしまった。

 

 

この上下関係を無視した働き方が、とても働きやすいという事実に。

 

 

残業まみれで顧客の要望に応えようとしたり、一人だけ頑張って納期を守ろうとしても…ドイツでは空回りをするだけ。それだったら、プレッシャーを感じない楽な働き方をした方が良い。「自分も周りと同じように働いていいのだ!」そう考えました。

 

 

それからというもの、わたくしコダモンも『ドイツ式』に働くようになりました。

 

 

“お客サマ” からの依頼と納期は一応守る努力はします。ですが…社内の関係部署がみんな各自の裁量で働いているので、そもそも納期の遵守が期待できないという事を知り、そこに無駄な労力を費やすことを諦めました。

 

 

今となっては、全て顧客の期待と要望通りに行く事の方が珍しいのだと割り切って、気楽に働いています。

 

 

だからといって、自分の評価や会社の評価が下がる事はありません。みんなそうやって働いているからです。

 

 

日本ではありえない現象ですよね。でも、これがドイツでは普通。

 

 

「お客様の期待に応える!」「お客様の満足度を上げる!」「お客様は神様だ!」

 

 

そのようなサービス精神を、ドイツ人は持ち合わせてない。

 

 

そして、自分達から見たら『格上』の大手企業が相手でも、その立場と上下関係を無視して「自分が働きたいように働く」という姿勢を貫くのです。

 

 

個人主義と成果主義の中で評価されるドイツ人は、全て自己責任だと割り切って働いている。

 

 

『お客サマ』相手にも上から目線で対応しながら、着実に仕事のストレスを減らしているのです。

 

 

コダモン

 

関連する記事を読む: