
今思い出しても恥ずかしくなる、日系企業に就職していた時にやらかした『失敗』をぶっちゃけます。
ドイツハーフが日系企業でやらかした
コダモンです。
ドイツの大学を卒業してから、日系の大手一部上場企業に就職しました。
ドイツハーフとして、半分外国人として日本で経験した『二ホンの社会人』は、色んな意味で毎日がチャレンジだった。
その当時の経験は、ドイツでグローバルに働く今、とても貴重なものだったと実感しています。しかし…。
海外生活が長かったこともあり、当時の職場で『やらかしてしまった事』が何度もあったのです。
それをぶっちゃけようと思います。

1. 飲み会にて
『失敗談』として真っ先に思いつくのは、社内の飲み会です。
年配のオジサンが比較的多く所属する部署だった事もあり、当時は何かにつけて頻繁に飲み会が行われていました。
わたくしコダモンは、日本の高校を卒業してからドイツで大学生をしていたので、就職時点では日本の飲み会事情をあまり知らない。
部署に配属となってから、さっそく歓迎会と称する飲み会が開かれました。そして…そこでやらかしたのです。
「コダモン、今日飲み会あるけど大丈夫だよね?」
…と、まず何も聞かされないうちに勝手に予定が組まれていた事にビックリ。お誘いは有難いけど、こんなに急に来る?
上司や部署のみんなの都合上だとは思うけど、こっちに予定がある場合はどうするつもりだったのだろうか。
もうこの時点でちょっとゲンナリしてしまい、「はぁ…」という感じでした。「こちらはお願いしていませんけど」というような気持ちです。
このように書くと怒られそうですが、日本の社会人に対して何の免疫もなかった当時の自分にとっては、このようなお誘いの“重要性”を知る由もありません。
そして、職場近くにある上司行きつけの居酒屋で飲み会。
歓迎会とは言うものの、部署のみんなが集まってワイワイガヤガヤ飲む場となりました。しかし、その話題はやはり入社したてのドイツハーフに集中します。
「なんで日本語上手なの?」「なんでウチのカイシャに来たの?」「なんでドイツで就職しなかったの?」というような質問を一通りクリアしたら…。
「サラリーマンをする目的は?」
「仕事をする意義って何だと思う?」
…などが、延々と続きました。オジサンの年配上司が、上機嫌でニヤニヤしながら質問してくるのです。
「このドイツハーフが日本の社会人に適合するか試してやろう」といった具合です。
そんな感じで2時間も経つ頃には、もうテンションはダダ下がり。
飲み会の途中でも「もう帰りたいんですけど」と言いたくなる自分を抑えながら、ひたすら解散になるのを待っていました。
要するに、この時の自分には「みなさんが自分のために歓迎会を開いてくださっている」というような意識はサラサラ無かったわけです。
というかもう面倒臭い…。そう思っていました。
そして事件が…。
午後6時半くらいから行われていた歓迎会も、9時を過ぎる頃にはお開きという雰囲気になりました。
酔いが回った上司たちを尻目に、女性社員は慣れたしぐさで「お先に失礼しマース」と言ってそそくさと帰宅。すると…。
「よーし、2次会どこに行く!?」という意気揚々とした男性社員の声が聞こえてきます。
コダモンは「マジかよ」と声にならない声を出しそうになりました。2次会に行く? このメンバーで…!?
もう早く帰りたい事しか考えていなかった自分は、強行突破を決断。
「今日はありがとうございました」みたいな丁寧な雰囲気を出して挨拶をしつつ。
帰りました
…自分の事ながら、今思い出してもちょっと冷や汗。
「えっ…」「お前マジか」というような表情の同僚と上司の視線を感じつつ、その場を後にしたのです…。
当時の自分は新入りだし、歓迎会という名目でもある手前、あの場面では最後まで付き合うのが礼儀であったとは思います。
縦社会とか集団行動で『和』を重視する日本の職場なので、この時の自分の行動は明らかに普通ではあり得ないわけですね。下っ端だし。
その後の会社員生活では飲み会を断ることもあったし、2次会に参加しない事もありました。そのおかげで自分は『イタイ新入り』というレッテルを貼られたかもしれないし、そういった意味では失敗だったと思います。
でも…。当時は実際に会社と部署の飲み会が楽しめなかったのです。
日本のカイシャの飲み会って、新入りや年下社員に対するプレッシャーが無駄に大きいと思います。
幹事をしたり、鍋奉行したり、料理を小分けにしたり、焼き鳥を串からほぐしたり(ほぐさなかったり)、上司の飲み物の減り具合を気にしたり、店員を呼ぶ係になったり…。このような『社会人のルール』には、嫌気しか感じませんでした。
みんな適当に飲んで食べて、楽しい時間を過ごせばいいのに…。
オジサン社員が「自分が若かった頃はもっと厳しかった!」などと言って、飲み会の場で年下社員を牽制したり。飲み会のマナーにうるさい人が必ず1人はいるので、まったく気が抜けない。
ドイツハーフは、職場の飲み会を上手にこなさなかった事もあり、上司に「かわいい部下」とは思われていなかったでしょう。
そういった意味で、真っ先に思いつくのがこの飲み会での“失敗”です。

2. 職場のしきたりと人間関係
次に、職場での人間関係や古いしきたり。
コダモンは、これも苦手でした。
いや、コミュニケーション能力は高いはずなのですが…。ここでも『日本式』についていけなかったのです。
同じ職場の人に敬意と感謝の気持ちを持つことは大事です。それに異論はありません。
でも、日本の職場は極端な年功序列で成り立っているので、オフィスの中には「長い物には巻かれろ」という雰囲気があります。
「上の人にはとりあえず意見しない」「古参の社員の言う事にはとりあえず従う」…といった具合です。
仕事ができなくても、勤続年数だけムダに長い社員たちが「自分たちは偉い!」と勘違いしてる場合もあり、日系企業の職場の人間関係はとにかく面倒くさいのです。
「報告書の書き方がなっていない!」と指摘してきた上司が自分でも同じミスをしていたり。
「部署をはさんだ女性社員同士が仲が悪い」などという理由で、それを考慮しながら仕事をしなければいけなかったり。(子供かよ)
日本のカイシャの『しきたり』や慣行をまったく知らないドイツハーフに色々と教えてくれるのは有難かったけど…。そのどれもが『どうでもいいこと』にしか思えなくて、自分が仕事をしているんだか誰かの面倒を見ているんだか、何だかわからない錯覚にも陥りました。
また、社内や社外との付き合いの代名詞でもある『ゴルフ』ですが、当時のカイシャでもやはり定番でした。
部長から「ゴルフやらないの?」と聞かれた時、「ヤバ…ついに来た…!!」と、戦々恐々としたのを今でも覚えています。
ゴルフが未経験だったので、「参加しても足を引っ張るだけですから…」とごまかして丁重にお断りしました。
しかし、これは将来のキャリアなどを考えれば失敗です。
残念ながら、こういった『付き合い』を断ることは、上司からの評価と今後のキャリアに少なからず影響します。特に日系では。
うーん…いや、ゴルフ自体は楽しそうだし興味もあります。
けれど…。
カイシャの人間と休日に会いたくない
その気持ちが強すぎて、部長の「ゴルフやらないの?」が自分にとっては爆弾だったのです。
飲み会がつまらなかったのと同じ感覚ですね。
ゴルフどうこうよりも、せっかくのプライベートの時間を大切にしたかった。
部署のゴルフに参加していたら、また違った楽しみがあったかもしれません。人間関係の構築にも役立ったことでしょう。でも、それを上回るほど圧倒的に『カイシャの人間と距離を置きたかった』のです。
ドイツで培った個人主義の考え方が、自分が思っていたより根強かったのかも。
ドイツハーフは、日系企業ではただの異端児だったのかもしれませんね…。
その他にも、細かいところでは『ハンコの精神』などもウンザリでした。
「ハンコの押し方が悪い!」と言って資料を突っ返された時は驚いたし、そういうのはマンガの世界の出来事だと思っていました。
このような作業効率などは完全に無視した仕事の仕組みも、最後まで理解できなかったのを覚えています。

3. 女友達と街を歩いていたら…
極めつけはコレ。
日本のカイシャや職場って他人のウワサ話が大好物ですよね、本当に。それにまつわる失敗談です。
当時勤めていたカイシャは都内の大手企業で従業員数も多かったのに、自分がドイツハーフで珍しい存在だった事もあり、何かと噂のネタにされていたようでした。
そんなある日。
社内の打ち合わせで、以前から少しだけ面識のあった他部署の韓国人の同僚と会議室で話し込んでいた時の出来事です。
仕事の話も済んで、ちょっと休憩…というところで、お互いの身の上話になりました。「このカイシャに来る前は何してたの?」とか「大学では何を専攻してたの?」など、他愛もない話題です。
すると急に、その同僚が「そういえば…」と言って、妙な事を聞いてきました。
「コダモンさんて彼女いるんでしょ?」
…え!?
なぜそんな事を…。いや、そもそも自分に彼女はいない。
「なんで? 彼女いませんけど…」
反応に困ってそう答えると、彼はこう続けたのです:
「あれ、そうなの? でもウチの上司が『コダモンが美人と腕組んで歩いているのを見た』って言ってましたけど」
そんな事を言うのです。
うーん…。(美人の彼女!?)
いや、落ち着け。身に覚えは無い。 (笑)
ちょっと理解不能だったので、その彼に細かく問いただしました。根も葉もないウワサである事だけは確かです。すると…意外な事実が判明したのです。
それはなんと、『女友達と仲良く歩いていただけ』のところを目撃され、それを彼女だと決めつけられていたのです。
しかも、日本語のコミュニケーションがあまり上手ではない韓国人の同僚にまで、そんなデタラメが流れ着くとは…。
気が付けば、社内ではコダモンに彼女がいる設定になっていました。(しかも美人の)
何はともあれ、事のいきさつはこうです:
当時の自分は、まだ日本へ来たばかりという事もあり、同族であるハーフの友達が多く、また外国人が多く集まるコミュニティの友達が多かったのです。
そして、そのうちの1人とゴハンの約束をして歩いているところを、パパラッチされたという訳です。
しかも、お互い海外が長いから『ボディタッチとかハグとかそういうのが普通』なわけで、そうやって仲良く歩いているところを日本人の社員に見られて「彼女だ!」と決めつけられてしまった…という事ですね。
この時のコダモン最大の失敗は、カイシャから1駅しか離れていない場所で待ち合わせをしてしまったということです。
要するに…。待ち合わせをしていたエリアは、仕事終わりに飲み会へ向かうカイシャの人達でごった返していたのです。気づかないうちに。
コダモンにとってはまったく面識のない他部署の人間でも、向こうからすれば『例のドイツハーフ』だと一目で認識できたのですね。
それでウワサが広まったと…。
日本で就職する前の自分は、海外の自由な環境、そしてプライベートと仕事を完全に切り離す世界で過ごしてきました。そのため、「自分がどのタイミングでどこの誰に会おうと、自分の勝手!」そのように思っていたのです。しかし…このような根も葉もないウワサにまで広がる危険があるとは、夢にも思っていませんでした。
恐るべし。日本のカイシャ。
この時の経験から、もう2度とカイシャの近くでプライベートの待ち合わせをする事はありませんでしたとさ。
おわり。
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