忙しすぎる日本がドイツの働き方を参考にするべき理由

『苦労している人』が大好きな日本人。仕事のための人生ではなく、人生を楽しむために仕事をしよう。



人生を楽しむために仕事をする

 

 

 

日本人はとかく「自分の仕事をどれだけ頑張っているか」を見せたがります。

 

 

半分日本人である自分ですら、ちょっとだけその自覚がある。

 

 

そしてその傾向は、社会人の集まりであるカイシャ組織となるとさらに顕著になります。日本の日系企業では、仕事の結果と同じくらい「忙しそうに働く姿」が評価の対象になっています。

 

 

上司が帰らないから残業する

 

 

周りに迷惑をかけたくないから有給休暇を使わない

 

 

外国人からすれば理解不能なこれらの行動は、日本の企業ならではです。日本人は苦労している人が大好きなので、「忙しそうにしている人が認められる文化」が強く根付いています。

 

 

「周りはみんな忙しそうにしているから、私も忙しくしなきゃ…!」

 

 

このように考えて動くことは本来まったく意味のない行動だし、ものすごく効率が悪い。しかし…。日本のカイシャではそれが当たり前。会社員たちは毎日毎日「忙しく働く姿」を上司と周りの同僚にアピールします。

 

 

そんな日本とは真逆に位置するのが、ドイツとその労働環境。上司も部下も、自分の仕事が終わったらさっさと帰宅して、余暇を堪能するのがドイツ人です。

 

 

与えられた有給休暇を100%消化して、2〜3週間の長期休暇でリフレッシュしながら毎日定時に帰宅しているドイツ人たち。

 

 

どうしてドイツ人と日本人はこうも正反対なのでしょうか?

 

 


1. 日本よ、そんなに急いでどこへ行く?

 

 

日本とドイツの両方の国で社会人の経験がある、わたくしコダモン。

 

 

日本で働いていた時はたくさん残業したし、ハーフでありながら日本人として日系の大手で働くことは、人間関係なども含めてめんどうな事が多かったです。それでも、仕事で結果を残そうと頑張るために、ムダ会議に参加したりダメ上司の残業に付き合ったりもした。

 

 

そのような世界で4年半を過ごした後に、ドイツでドイツ企業に就職。

 

 

すると…。

 

 

 

日本とドイツの「働き方の違い」に愕然とした

 

 

 

日本でストレスだった働き方が「実は本当にヤバいのだ」という事実を、ドイツで社会人をする事でハッキリと認識できたのです。

 

 

日本とドイツは、まずその生活のテンポが違います。

 

 

日本は戦後の高度成長期を通して、「終身雇用」や「年功序列」といった制度を確立しました。社員はカイシャに全身全霊をそそいで、寝る間も惜しんで利益のために貢献する。そして、その見返りとしてカイシャは一生社員の面倒をみる。

 

 

そのような大昔の制度の名残が未だに存在するのが日本社会です。

 

 

時代はとっくにグローバル化しているのに、古い考えのまま働いている古参の社員たちが盛りだくさん。

 

 

そのため…。

 

 

「出社時間は厳守! でも残業は当たり前!」

 

 

「たくさんカイシャに貢献して定年まで勤め上げる!」

 

 

「転職はリスキーである!」

 

 

このような働き方と考え方が、なくならない。

 

 

また、そういった思考が支配する日本企業ですので、自ずと社員たちは心身を消耗しながら働くことになります。上司も部下もみんなエンドレスな残業や休日出勤などに身を投じている。

 

 

その結果として、日本人は常に「自分は忙しい」というアピールをするのです。

 

 

しかし、このような働き方は時代錯誤もはなはだしくて…。何よりも効率が悪いです。

 

 

そもそも、「いつも忙しく働いている」日本人の1時間当たりの労働生産性が低いことは、正式に数字としても現れています。

 

 

日本の1時間当たりの労働生産性はOECD加盟35カ国の20位

(公益財団法人HP)

 

 

日本は仕事の生産性が、先進国の中でも極めて低いのです。

 

 

毎朝怒涛の通勤を繰り返して、毎日あくせく働いて、たくさん残業している日本人。しかし、それが果たして効率的なのか? と言えば、その答えは明らかに "NO" となります。

 

 

毎朝の出勤時には、何か苛立ったような殺伐とした雰囲気の中、足早に勤務先へと早歩きで出社していくサラリーマンたち。終電間際の駅のホームにも、スーツ姿の会社員が大勢います。

 

 

息つくヒマもなく働いて、こんなにたくさんカイシャに貢献しているのに…。生き急いだ先には、効率の悪い結果しかないのです。

 

 


2. ドイツでは遅れることが当たり前

 

 

ドイツ社会には、最近 "Karōshi" という言葉が定着してきました。(Wikipedia参照)

 

 

その語源は言わずもがな、『過労死』です。

 

 

しかし、これが使われるシチュエーションというのは、主に「日本の働き方」や「仕事観」を語る時です。ドイツに過労死が横行しているからではありません。

 

 

何が言いたいのかというと…。

 

 

 

日本の『過労死』が世界に知れ渡っている

 

 

 

という事です。

 

 

「ニンジャ」とか「ハラキリ」みたいに、「カロウシ」が浸透してきている。何とも悲しいというか、複雑な気持ちになります。

 

 

「異国の地ニッポンで残業月100何時間の末に社員が過労死…」

 

 

そのような報道を、ドイツでも目にする事があります。そして、それらは「ドイツでは到底ありえない事」として認識される。

 

 

ドイツにおける日本人のイメージとは、律儀で礼儀正しく、とても勤勉というもの。

 

 

しかし…。ストレス大国ニッポンの異名はドイツにも引き届いており、「命を落とすまで働き続けるヤバい国」という認識もあります。

 

 

ドイツ人に「日本人の忙しく働く姿」が理解されない背景には、彼らの生活のテンポも関係しています。

 

 

例えば、ドイツの鉄道会社。

 

 

6分以内の遅延は「定刻通り」とみなしています

(Deutsche Bahn参照)

 

 

日本でいうところの "JR" のような大規模な組織が、「6分以内の遅れは当たり前だから」と正式に宣言しているのです。

 

 

さすがというか何というか…。国民性以上の何かを感じます。これはこれでヤバい。

 

 

しかし、これは裏を返せば「電車の遅延は当たり前」と国民がとらえおり、さらには電車が遅れて当たり前の生活をドイツ人が送っていることになります。

 

 

そしてそれは、当然のように問題を誘発します。出社時間の遅れや飛行機の乗り継ぎミス、さらには出張先の打ち合わせへ遅れてしまうなど、多くの「仕事」にも影響が出ます。

 

 

しかし、ドイツ人にとってはそれが当たり前。

 

 

このようにして、ちょっとくらいの遅れを気にしない姿勢が出来上がるのです。

 

 

あくまで一つの例に過ぎませんが…。ドイツ人の仕事に対する考えも同様です。

 

 

カフェの店員さんが「やる気ナシ感丸出し」で不機嫌そうに働いている光景をよく目にするし、道路工事などもダラダラといくらでも時間をかけて、周辺住民の苦悩や渋滞などに対する関心はゼロ。

 

 

そのような仕事の現場に対して、半ば諦めたように対応するのもドイツ国民なのです。

 

 

顧客の納期が迫っていても、社内の事情で顧客を平気で待たせたり。上司もひっくるめて、会社規模で「納期を守らない」という事もあります。良くも悪くも、そのように働くドイツ人はストレスフリーなのです。

 

 

同時に、仕事以外にいくらでもやりたい事があるのがドイツ人。そのため、仕事が込み入っていても平気で2週間ほどの休暇を取るし、社員はいくらでも会社を休みます。

 

 

このようなドイツ人から言わせれば…。

 

 

 

『過労死』などが存在する日本の忙しさは理解できない

 

 

 

同じ経済大国であり先進国でもある、ドイツと日本。しかし、その労働環境と仕事に対する価値観は、まったく異なります。

 

 

ちなみに…。

 

 

ドイツの1時間当たりの労働生産性はOECD加盟35カ国の10位

(出典: 同上)

 

 

週40時間勤務で残業もほとんどないドイツ。それでも、「忙しすぎる日本」と比較すると、より少ない労力でより多くの経済的な成果を生み出しているのです。

 

 

 


3. ストレスが無い生き方を選ぶ

 

 

仕事が忙しすぎる日本は、ドイツを参考にすべき。

 

 

とは言ってみるものの…。それは日本の社会と世論を根底からひっくり返すような作業が必要で、簡単に実践できるものではありません。

 

 

「カイシャは『生きがい』だ!」

 

 

そう言い切る「キケンな社会人」がまだまだ大勢いる日本。家に帰ったら自分の居場所がなく、付き合いと言えばカイシャの人間だけ…。そのような人たちに囲まれた職場では、ドイツの働き方を実践することはほぼ不可能です。

 

 

部署も上司も同僚もみんなひっくるめて「忙しく働く姿勢」を見せながら評価を上げようとする。自己を犠牲にしてカイシャに尽くしている人が認められるような世界には、必ずストレスがつきまといます。

 

 

そのような日本の労働環境は…。今後も変わりません。

 

 

ドイツのように余裕のある働き方をしている海外勢は、このような日本の実態をクレイジーだと思っています。

 

 

「日本人は無意味に長く働いてるだけ」

 

 

「休暇も取らないで仕事ばかりしていて楽しいの?」

 

 

そのように言うドイツ人は、確実にストレスの無い生き方を選んでいます。

 

 

では、それを実行する事が難しい日本の社会人は、いったいどうしたらいいのか…?

 

 

その答えは単純です。

 

 

まずは「断ること」から始めましょう。

 

 

日本で忙しく仕事をしていると、その業務のうちの何割かは「やらなくていい仕事」なのだという事に気付かされます。

 

(合わせて読みたい)

 

 

本当に日々の業務が忙しくて目が回りそうな人は、仕事を上手に断ることからはじめてみる。

 

 

それ以外の人は…。

 

 

ムダ残業でもしているのかな? その場合は、周りの人のためにもさっさと定時で帰ってください。

 

 

「働き方」に対する考えが正反対なドイツと日本ですが、その中身を紐解いてみれば、結局どの国の会社員もストレスフリーで働きたいと考えています。

 

 

お国柄など関係なく、誰もがみんな定時で仕事を切り上げて、健康な社会人であり続けたいと願っている。

 

 

日本人に欠けているものもたくさんあれば、ドイツ人の働き方にもまだまだ向上の余地があることでしょう。

 

 

しかしそれでも…。ドイツと日本の働き方は、確実に違います。

 

 

これから戦場にでも赴くかのような切迫した表情で出勤していく、スーツに身を包んだ日本の会社員たち。そのような人たちを、ドイツでは見かけない。出勤風景ひとつ取っても、日本のような殺伐としたものがドイツには無いのです。

 

 

心に余裕をもった働き方で、余暇をたくさん作りながら仕事をするドイツ人。彼らを見ていると、人生を本当に楽しんでいるように見えます。

 

 

『人生を楽しむこと』には、国も社会も何も制限はありません。

 

 

仕事のための人生ではなく、人生を楽しむために仕事をする。

 

 

ドイツ人の働き方がそのまま実行できなかったとしても、彼らの姿勢から学ぶことで日本の社会人にも『変われるキッカケ』ができるのです。