ハーフが会社に就職してみた_第20話_駐在員やってみた(part3)

ドイツでの海外勤務で充実した生活を送るはずだった、ドイツハーフ。その雲行きはどんどん怪しくなっていった。

海外勤務でたくさん考えてみた

 

 

コダモンです。

 

 

ハーフであるコダモンが、日本のカイシャに就職してみた話。  

 

 

第20話: 海外勤務で「日本」を考えさせられた

 

 


 

 

自分が社会人をする中での目標だった、グローバルな人間になるという目標。

 

 

それは、駐在員となってから「ドイツの企業に馴染む自分」を発見した時に、達成できた実感がありました。

 

 

現地の人間と協働してビジネスに携わる仕事は、とても楽しかったです。

 

 

1年を過ぎたあたりで、「本社からのお客さん」という概念を取っ払う事にも成功して、社内のドイツ人たちと信頼関係を築けるようになっていた。

 

 

そんな彼らとは気兼ねなく意見交換ができる仲になり…。

 

 

「例のビジネスはもうすぐ切り捨てるらしいぞ…」

 

 

とか…。

 

 

「知ってるか? ○○がもうすぐ辞めるらしいよ…」

 

 

などの情報も秘密裏にゲットできるほど、ドイツハーフはそのグローバル組織に溶け込めていました。

 

 

どれもこれもドイツ語が母国語であることの恩恵です。

 

 

今更ながら…。ハーフで良かった(笑)

 

 

コミュニケーションも潤滑にいく事で、「外国人」と関わる仕事の進捗具合は、とても良かったです。

 

 

…。

 

 

そんな折に、日本へ出張する機会がありました。

 

 

その目的は、欧州顧客の日本への出張同行。

 

 

とあるビジネスが順調で、彼らを日本に招待することができたのです。

 

 

ドイツハーフは、それにフル参戦。自分が担当していたビジネスでもあり、この時は成果が実感できて…。単純に嬉しかった。

 

 

出張のメインでもある顧客対応がとてもスムーズにいって、お客さんも満足していました。

 

 

自分が組んだスケジュール通りに物事を進められたり。

 

 

質疑応答が英語で行き詰まると、自分が適宜に日本語とドイツ語に翻訳して同時通訳したり。

 

 

「これは…。しっかり結果が残せているぞ…!」

 

 

自分の中でも、そう思えた。

 

 

…。

 

 

その出張の際に、「元同僚」に偶然バッタリ道ばたで会いました。

 

 

その人は、コダモンが本社勤務時代に同僚だった女性社員のうちの1人。

 

 

 

「あれーコダモンさん!?」

 

 

 

元気に声をかけてくれた、その元同僚。

 

 

 

「久しぶりですねーどうして日本にいるんですか?」

 

 

 

そんな他愛もない会話から、お互いの近況報告をしました。

 

 

その人は、コダモンが駐在員となった後にカイシャを去っていたのですが…。どうやら外資系の企業に転職したのだとか。

 

 

 

「では、お互い頑張りましょうね!」

 

 

 

ほんの5分くらい話し込んだ後に、そうやってお別れしました。

 

 

足取りも軽く、颯爽と元気に去っていく元同僚。

 

 

実はこの時、自分はけっこうな衝撃を受けていました。

 

 

なぜなら…。

 

 

久しぶりに会った元同僚の女性社員がものすごくイキイキしていたからです。

 

 

もともと元気な人だったのですが、自分が記憶している姿とは大違い。

 

 

見た目も小綺麗になっちゃって。まぁそれは別の理由もあるかもしれませんけど。

 

 

何はともあれ営業部で一緒に働いていた姿とは大違いでした。

 

 

たった5分ほどの会話の中で、何度も「今の仕事は楽しい」と言っていた、その女性。

 

 

そのような発言は、昔の本社勤務時代には一度も聞いたことがない。

 

 

やっぱり…。

 

 

本社で営業をしていた時は「楽しくなかった」のだ。それが明らかに見て取れるほど、その変わり様に驚かされました。

 

 

そして…。コダモンはこの時…。

 

 

 

海外勤務が「楽しい」と伝えられなかった

 

 

 

自分でも不思議に思いました。

 

 

仕事も順調で、ドイツでの生活自体は充実していたはずなのに…?

 

 

偶然の再会で、おそらく今後はもう会う事もない元同僚。彼女も同じ気持ちだったためか、「自分は今楽しく仕事をしています」と教えてくれた。

 

 

 

「あの時はお互い辛かったね、でも私は今楽しめてるよ!」

 

 

 

会話の中で、彼女はそんな「メッセージ」を残していたのです。

 

 

その元同僚は、とっくにカイシャを辞めている人。それなのに、今の自分の海外生活とそこでの仕事が「充実している」と言えなかったドイツハーフ。

 

 

…。

 

 

達成感を感じた出張でしたが…。この時のたった数分の出来事に、とても考えさせられました。

 

 


埋まらなかった「海外と日本」の溝

 

 

現地のスタッフとの協働は順調で、ビジネスでも少なからず成果が出始めていた、海外勤務。

 

 

ところどころに「思う事」がたくさんある中で、ドイツの空気を吸いながら仕事に励んでいました。

 

 

そんな出向先では、「日本」と「日本人」から距離を置いて働きながら、はや1年半。

 

 

その働き方が正解かはわからないけど…。駐在員をしている中で、いろいろと見えてきました。

 

 

…。

 

 

いつまでも日本にいる時と同じ働き方で悪戦苦闘している日本人上司たちのやり方は、やっぱり結果につながっていないようでした。

 

 

それもそのはず。

 

 

先頭に立ってどれだけ大きく旗を振っても、後ろを振り向けば誰もついてきていないからです。

 

 

本国及び本社のある日本とは「これでもか!」というほど頻繁にやり取りがあるのに、ドイツ組織の中では明らかなコミュニケーション不足だった日本人駐在員。

 

 

組織として働くことが得意な日本のサラリーマンなのに…。こと海外においては、それが実行できていない。

 

 

いや、彼らは今まで通りかそれ以上に頑張ろうとして毎日残業しているのに…。ドイツ人にはそれがまったく理解されない。

 

 

国が変われば文化も変わると言いますが…。

 

 

そのギャップに苦しみながらビジネスを進める現場が、まさに自分の目の前で繰り広げられていた。

 

 

…。

 

 

まず、「仕事が命」とでも言わんばかりに仕事に傾倒する働き方は、ドイツ人からまったく共感を得られません。

 

 

ドイツでは、プライベートの時間を確保することが、「仕事そのもの」と同じくらい重要。毎日の仕事の合間にしっかり余暇を確保する事で、健全なアウトプットへとつなげるのです。

 

 

それがドイツでは普通であり、グローバルスタンダード。家族や趣味の時間など、仕事以外にいくら時間があっても足りないのが欧米人です。

 

 

毎日働いている中での「ゆとり」もそう。

 

 

ドイツ人は社内の打ち合わせに、コーヒー片手に足を組んで参加していました。

 

 

若手でも、ふんぞり返ってコーヒーをすすっている。

 

 

…。いいのコレ? (笑)

 

 

日本だったらありえない光景だし、すぐに上司から「なんだその態度は!」などと檄が飛びそう。

 

 

しかし、ドイツ人上司は「俺ももう一杯だけコーヒー飲むか…」などと言いながら、その状況をまったく意に介していない。

 

 

一見仕事モードに見えない姿勢は、あくまで「余裕をもって仕事をする事」とセットになっているのです。

 

 

…。

 

 

そんなドイツ人とは正反対に、夜遅くまで働いて休日にもメールを書くのが日本人従業員。

 

 

海外でも負のイメージが根強い「働きすぎの日本人」をしっかりと実行していました。

 

 

日本人とドイツ人。

 

 

どちらも、世界的に見たイメージはよく働く「真面目な人種」。それでも、その「中身」と「働き方」はまったく違う。

 

 

まさに対極にいるような2者が、海外オフィスで共存しながら協働しなければならない。

 

 

思想や社会の違いもさることながら、教育、社会人経験と、自己形成の根底が異なる人種たち。彼らが交わる中で、1つの組織として結果を出さなければならないのです。

 

 

…。英語もロクにできない日本人上司に、その「まとめ役」は務まらない。

 

 

その人の肩書がどんなにハイレベルでも無理。

 

 

そのため…。

 

 

ビジネスの促進などを語る以前に、まずデイリーの「仕事の在り方」において足並みが揃わないのです。

 

 

 

「16時から始まる会議に参加しろって○○サンから言われたんだけど、どうなってるの? その時ワタシはもう帰る時間」

 

 

 

「今朝メールボックスを見たら22時に○○サンからメールが来てたんだけど? 働けってことなのかしら」

 

 

 

「日本人って仕事以外にする事ないの」

 

 

 

ドイツハーフは、そのような現地の声をたくさん聞かされた (笑)

 

 

「いやぁ~自分も日本ではもっともっと残業してたんだよね…」

 

 

などと言いながら、過去の経験を教えてあげたり。

 

 

「ストレス大国ニッポン」のサラリーマンの話になると、ドイツ人は口をあんぐりさせて驚いていました。

 

 

日本と海外で社会人経験があるコダモンは、どちらの国の意見も理解できた。

 

 

まぁ…。日本人駐在員にも、それなりに事情があることも知っています。

 

 

「自分の仕事は本社の偉い人を満足させること」

 

 

そして…。

 

 

「自分はいずれまたいつか本社に戻る身」

 

 

そのように考えているのかいないのか…。日本人駐在員たちは、いつもたくさん残業しながら本社へのリポートだけに全身全霊を注いでいました。

 

 

彼らの今後とそのキャリアを考えたら、おそらくこの「働き方」は間違ってはいないのでしょう。

 

 

そのアプローチがどうであれ、「任期を全うするための働き方」はどこの業界・職種にも見受けられます。

 

 

しかし…。

 

 

それが最適解か? と問われれば、答えはもちろんNOです。

 

 

 

組織としての意識と方向性はてんでバラバラ

 

 

 

日本人従業員とは違い、現地の外国人たちは、彼らの中で定められた目標設定とターゲットに対してだけ働こうとします。

 

 

ドイツ人は、日本人駐在員の「事情」なんて知らない。自分が上司と一緒に設定した業務内容に取りかかるだけ。そして、その仕事が終わったらさっさと帰るだけ。

 

 

そんな現地スタッフ達を上手に利用するのが、マネジメントの仕事です。

 

 

そして、そのようなマネジメントは、ドイツ人組織の中ではしっかりと成立しています。

 

 

ただし…。これを無理矢理「グローバル」に動かそうとすると…。すぐコケる。

 

 

欧州ではしっかり完結する組織体制の中に、日本人駐在員と日本からの「本国の意思」が入る事で、スーパー面倒臭くなるのです。

 

 

「上司の○○さんが言っているから」

 

 

そのような理由で、現地スタッフの範疇外にある仕事を与えようとするカイシャ。

 

 

そんなものにはまったく関心のない、外国人スタッフたち。

 

 

それでもなんとか説得しようとする、日本人たち。

 

 

…。

 

 

いつしか両者の会話の場もなくなり、お互いを腫れ物扱いするようになる。

 

 

そして「行き場を失った仕事たち」がコダモンに降ってくる(笑)

 

 

何はともあれ、そのような状況は日常化していたのです。

 

 

…。

 

 

事業を「グローバルで成功」させたいのに、グローバルコミュニケーションすら取れていない状態。

 

 

本国からは明確な期待値と求めらるアウトプットが存在するのに、そこに対するロードマップはほぼ机上論。

 

 

日本式のマネジメントに戸惑うドイツ人とは、すれ違いだらけ。

 

 

「多様性」などを語る前に、「お互いを理解する」という根本的な部分が欠如していたのです。

 

 


ドイツハーフは何をすべきか?

 

 

そんな「すれ違いの現場」に、ドイツハーフが駐在員として加入。

 

 

ドイツ語と日本語を駆使する事、また、両方の国の文化と「考え方」を理解した上で働く事で、両者の「橋渡し」を期待されていたのですが…。

 

 

たった数か月で諦めた

 

 

いや、諦めざるを得なかったです。

 

 

今思い返しても、非常に残念。他人事のようにも聞こえますが。

 

 

駐在当初からコダモンに対する期待値は高かったのですが、ダメでした。

 

 

「これは…。もう手遅れだわ」

 

 

ドイツ人と日本人の意見を聞いてるうちに、そう思った。

 

 

その理由を一言で言い表すのは難しいのですが…。

 

 

ドイツの駐在先には、自分が「もっと頑張ろう」と意気込んで戦うフィールドが、そもそも無かった。

 

 

上の人にバリバリ進言して、組織をグローバルに巻き込んで…。というような働き方は、出鼻をくじかれたまま最後まで成立しなかった。

 

 

例えば、何時間にも及ぶムダ会議。その会議の中では、ビジネスの進捗状況や事業方針など一通りの重要事項も議論されます。

 

 

そんな大事な内容の時に…。

 

 

担当レベルのコダモンが営業代表として参加させられる

 

 

いや、これ自体は光栄な事だし、自分の経験としては非常にありがたいこと。

 

 

しかし、ここでの焦点はそこじゃあないんです。

 

 

上司であるドイツ人マネージャーとさらにその上の外国人上司をすっ飛ばす

 

 

これが問題。

 

 

同族意識が強すぎるあまり。また、「英語」という障壁もあるので、ここでも物事を日本人だけで完結させようとする。

 

 

いやいや…。ダメでしょ(笑)

 

 

普段は縦割りの組織体制強く意識するくせに…。何で要所で営業の上の人 (外国人) と話をしないの??

 

 

時には、関連する外国人上司がその事実すら知らされていないこともあり…。もうめちゃくちゃです。

 

 

営業組織でも下の方に位置するコダモンは、全てを把握しているわけでも無いのに。これも会議の中身が薄っぺらくなる遠因です。

 

 

…。

 

 

そのような事の繰り返しで、単純に「もっと頑張ろう」とは思えなくなっていた。

 

 

 

「カイシャのビジネスをグローバルに促進させてやろう!」

 

 

 

そのモチベーションは、「日本式」の中にさっさと埋もれてしまいました。

 

 

それにしても…。

 

 

 

自分はいつからこんなに消極的な人間になってしまったのだろうか?

 

 

 

18歳で単身ドイツに渡って、厳しかったドイツの大学を卒業して、意気揚々とカイシャに中途で入社してみたドイツハーフ。

 

 

その時の自分は自信に満ち溢れていたし…。

 

 

 

「自分のスキルを最大限に活かしてグローバルに活躍するのだ…!」

 

 

 

そんな野心がメラメラと燃えていました。そう願って止まなかった。

 

 

ちょっと調子をこいてた時期もありましたが…。基本的には常に前向きだった。

 

 

そして、本社で紆余曲折はあったものの、今こうしてドイツ駐在員としてその活躍の場が与えられている。

 

 

けれど、フタを開けてみれば…。

 

 

たったの1年半で、もう既に諦めムード。

 

 

現地の人間との協働には少なからず「やりがい」を感じていたけれど、それ以外は日本にいた時となんら変わりがない。

 

 

ドイツハーフのこのような受け身の姿勢…。それは、本社時代に鍛えられた「年功序列の体制」の中で培ってしまった考え方なのです。

 

 

既存の古いルールを「そういうもんだ」と従順に守る会社員。

 

 

集団的に仕事をしながら、基本的には指示待ちをする会社員。

 

 

コダモンも、その歯車の一員になり下がってしまったのか…?

 

 


豊かに働くドイツ人

 

 

駐在員としての生活も、もうすぐ2年が経とうとしていました。

 

 

その海外生活の中で、現地の人に見習う事はたくさんあった。

 

 

…。

 

 

中でも特に仲良くなったドイツ人は、毎朝7時にはオフィスに出社していました。

 

 

寝ぼけまなこで8時過ぎに出社するコダモンよりも、1時間以上も早く働いている。

 

 

そのため、所定労働時間を含めても、彼にとっての定時は16時。

 

 

夕方の17時には家に着いて、家族と自分の趣味の時間に費やしていたのです。

 

 

残業なんて基本的にしないし、「シツレイシマース」というドイツなまりの日本語で、毎日さっさと帰宅していました。

 

 

そんなドイツ人同僚は、とても規則正しく生活していた。

 

 

例えばその彼は、絶対に朝食を欠かしませんでした。

 

 

朝何らかの理由で時間が取れなかった時も、9時頃くらいになると「常備されている簡易朝食セット」をおもむろにロッカーから取り出して、ゆっくりと時間をかけながら…。自分のデスクでモシャモシャ食べ始めます。

 

 

会議のスケジュールなども、そのような「貴重な時間」とカブらないように設定していたほど、彼は徹底していた。

 

 

その間、デスクの電話が鳴っても出ないし(笑)

 

 

このような自分の中でのルールと「仕事のリズム」を守ることで、日々のストレスを上手にコントロールしているのでした。

 

 

一緒に出張した時なども、彼は朝昼晩のゴハンの時間をしっかりと設けていた。

 

 

顧客の打ち合わせに遅れそうになっても「食事」を優先しようとする姿勢に、ドイツハーフは何度もヒヤヒヤさせられました。

 

 

「ゴハンは後回しにして、もっと急ごうよ…!」

 

 

そう言って「あくせく」働こうとしていたコダモンを横目に、たっぷりと時間をかけるドイツ人。

 

 

「昼食を抜いてでも仕事をして納期優先」みたいな考えは、持ち合わせていなかったのです。

 

 

こちらが舌を巻いてしまうほどの徹底ぶり。

 

 

周りに合わせるのでは無く、あくまで自分のペースで仕事をする事。

 

 

これは、日本のサラリーマンを経験した自分にはとても「健全」に思えたのです。

 

 

組織の中でも「自分のルール」を設けて、なおかつ結果につなげる働き方。

 

 

仮にそれを実行に移すとなると…。そのハードルはとても高いように感じられる。

 

 

それでも、そのドイツ人はちゃんと結果を残し、社内でも信頼される人材だったのです。

 

 

 

「あいつ…。また今日も16時に帰宅かよ…」

 

 

 

「まだ仕事が残ってるのに、すぐ帰る…」

 

 

 

そのようにグチをこぼすのは、例の如く日本人駐在員だけ。

 

 

ここで言う「仕事が残っている」は妄想です。定時をまわってから開催される社内会議は、ドイツ人にとっては「参加不可」ですから。

 

 

…。

 

 

またある時。

 

 

オフィスの休憩所に行くと、机のド真ん中にケーキが置いてありました。

 

 

 

「…なんだろう?」

 

 

 

興味津々なドイツハーフに、同僚が教えてくれた。

 

 

 

「ああコレ? ○○が今日誕生日らしいよ」

 

 

 

なるほど、仲の良い同僚同士が、祝福してあげるのだな…。

 

 

…と思ったけど、どうやら違うらしい。

 

 

なんと…。

 

 

 

「○○が自分の誕生日だからケーキを作ってみんなに持ってきたんだ」

 

 

 

そう言うのです。

 

 

…え?

 

 

「普通逆じゃないの?」

 

 

面食らうドイツハーフ。

 

 

コレは実はドイツでは普通の光景で、自分の誕生日に職場にケーキを持って行って振る舞うのです。

 

 

普段お世話になっている人に、幸せおすそ分け。

 

 

なんとも素敵な習慣…。

 

 

同僚たちにも事前通達があって、休憩所にワイワイガヤガヤとみんな集まる。そして、ささやかなお祝いと共にケーキを食べながら談笑。

 

 

社内でも、イベントには公私をわけて、この時はとても和やかな雰囲気。

 

 

それなのに…。そこに招待されても参加すらしない人も。

 

 

またまた例の如く、日本人駐在員たちです。

 

 

 

「こんな事にはたっぷり時間を割くくせに…」

 

 

 

…みたいな苦言を呈する人もいます。

 

 

 

お前らどんだけ仕事が好きなんだ? 

 

 

 

そりゃあ日本のカイシャにはこの「誕生日の習慣」は無いけれど…。

 

 

どれもこれも、文化の違いを理解しようとしないから生じる矛盾です。

 

 

何はともあれ…。

 

 

このように「職場にもプライベートを持ち込む」のがドイツ人。

 

 

ドイツハーフは、彼らの働き方には共感できたし、「うらやましい」とさえ思えた。

 

 

「こうやって働けたらいいなぁ…」

 

 

そう考えるようにもなっていました。

 

 

上司も一緒になって仲良く談笑し、その瞬間は仕事を忘れて、楽しいひと時でリフレッシュしている。

 

 

普段は与えられた仕事をバリバリこなし、それが終わったら即帰宅。

 

 

そのような素晴らしい職場環境と、余裕をもつ働き方。

 

 

その反面…。

 

 

駐在しているドイツオフィスで、いまだに日本人上司の相手に悪戦苦闘している自分。

 

 

せっかくドイツに来たのに。

 

 

せっかくこのような「豊かな働き方」があるのに…?

 

 

…。

 

 

 

「コダモン、お前も仕事なんてしてないで早く帰れよ」

 

 

 

そうやって、これまでに何度も何度も、夕方の16時に帰宅して行くドイツ人に声をかけてもらった。

 

 

そして…。たくさん、たくさん考えさせられたのです。