「退職代行サービス」が流行る日本の会社事情は異常か?

「退職代行サービス」を利用しないと退職できない会社事情はヤバいけれど、そもそもなぜ必要とされるのか?

 

 

コダモンです。

 

 

「退職代行サービス」という言葉、みなさんは耳にしたことがありますか?

 

 

その存在を知ったキッカケはとあるネットニュースだったのですが、その記事を読み進めてみて…ちょっとした衝撃を受けました。

 

 



「退職代行サービス」とは?

 

 

まずは「『退職代行サービス』が続々生まれる深刻な理由」という、東洋経済オンラインの記事の抜粋から:

 

 

「簡単にサービス内容を説明すると、退職希望がありながら退職できないユーザーに対して、退職手続きをアドバイスし、退職の連絡を本人に代わって行うというものだ。その際にサービス利用料を3万~5万円を支払う。」

(出典: 「退職代行サービス」が続々生まれる深刻理由」, 2018年11月25日時点)

 

 

ふむふむ。

 

 

まさに、「退職代行サービス」の名の通り、退職を本人に代わって行うサービス。

 

 

退職の連絡を本人に代わって行うという部分もミソですね。

 

 

でも…。

 

 

なぜそのようなサービスに3万~5万円を支払うのか。そして、なぜこのサービスの需要が昨今高まっているのでしょうか?

 

 


『退職』は確かに簡単ではなかった

 

 

わたくしコダモン。

 

 

このブログでもたびたびお伝えしている通り、いわゆる「退職経験者」です。そして、転職経験者でもあります。

 

 

(合わせて読みたい)

 

 

ドイツの大学を卒業した後に日系の大手のカイシャで4年半勤務し、その後はドイツの外資系企業に転職しました。ドイツとのハーフなので、日本語とドイツ語が母国語です。

 

 

これまでお世話になった会社からの退職を決意するまでには、様々な葛藤があります。自分はドイツの大学に通いながらも実務経験を積んでいたので、いわゆる第二新卒のような扱いでの入社でした。そこから4年半。

 

 

全て円満ならば退職など考えないでしょう。しかし、そうもいかないのが会社員。社内の人間関係の摩擦や『憂鬱な仕事』はあるし、隣の芝が青く見えることもしょっちゅうあります。そんなものが時間と共に積もった結果、いつしか終わりを見据えた働き方に移行していくのです。

 

 

そして、いざ決意して会社側に伝えた時の当時の自分の状況は…ちょっと複雑でした。

 

 

まず、テンプレ通りに直属の上司に退職の意向がある事を伝えました。

 

 

その上司からすれば、まさに『寝耳に水』だったのだと思います。その当時のドイツハーフは何か大きな問題を起こした事もなく、どちらかといえば会社に重宝されていたようでした。自分で言うのも何ですが、上層部は将来を見据えた人材だと認識していたのです。

 

 

何はともあれ、その時の上司の「えっ!?」という驚きのリアクションは、今でもハッキリ覚えています。

 

 

自分にとっては、もちろん初めての退職(の決意)です。口頭で告げる以外に何をするべきかもよくわかっていませんでしたが、とりあえずネット上の情報に従い『退職届』を準備していました。

 

 

『退職願』ではなく『退職届』だった理由は、もう自分の中で数ヶ月以来悩み通した結果として、もう会社に残る気持ちがまったく無かったからです。その気持ちも込めて退職届を持って上司のもとへ向かったのです。そして、神妙な面持ちとともにその退職届をさっと提出。

 

 

「おお…。そうか。まぁ座れよ…」と上司にうながされるまま、そのまま面談のような形で事の背景などを色々と聞かれました。しかし、結果的にその場では『退職届』は受理されませんでした。上司にとっても突然のことであり、やはりそれを素直に受け取る準備ができていなかったのでしょう。同じ職場で、同じ目的に向かって毎日一緒に働いていたのに…お互いの意識のギャップというものは怖いものです。

 

 

しかし、この最初の行動は「辞める」という意思を正式に伝えるには十分でした。

 

 

4年半の会社生活では色々とありました。入社当時は、ドイツ語と日本語のバイリンガルでグローバルな人材として、期待されての鳴り物入りでの入社でした。有難いことに、入社数ヶ月の新米ながら社長の海外出張に同行したり、またハーフという珍しい存在も手伝って、社内ではちょっとだけ名の知れた存在でした。ポジション自体は役職もあって無いようなヒラ社員でしたが、周りは自分の存在を認めてくれていたのです。

 

 

そのため、「ウチの例のハーフが辞める!」という情報は、けっこう上の人までザワつかせるネタになったようでした。

 

 

事実、退職を告げた上司は「上の人にも確認するから」ということを理由に退職届を受理しませんでした。その上司も慎重に行動する必要があったのでしょうか?「あいつが辞めたらウチにとって損失かも…」という事を検討してくれたのかもしれませんね。

 

 

社会人として毎日汗水流しながら働く会社員は、みんな貴重な人材であり人財です。彼ら/彼女らが辞めていくことは、どのような組織にとっても損失なのです。

 

 

実際に上司に「辞める」と伝えてからは、その後のプロセスはけっこう早かったです。

 

 

しかし…ウワサにも聞いていた通りの『引き止め』があり、それがけっこう大変でした。

 

 

何しろ、会社側からすれば「例のドイツハーフが辞める!」という事は予想外の自体です。

 

 

その後は事業部長クラスの人にも呼ばれて…。

 

 

「なんでまた?」

 

 

「お前には期待していたんだぞ…」

 

 

「もう転職先は決まっているのか? 競合他社なのか…?」

 

 

などなど、一通りのやり取りがありました。そして、これが1番神経を使った。

 

 

会社側としては、自分には本当に将来を期待していたらしく…その想いはとても有り難かったです。でも、こちとら辞める気マンマンなわけです。詳細はここでは割愛しますが、自分からすれば引き止めるタイミングはもうとっくに過ぎていたわけですね。

 

 

それでも、淡々と「すみません…」「お世話になりました…」など、形ばかりの神妙な面持ちを続けます。お世話になった会社に対して嘘をつくつもりはなかったですが、やはり退職理由の追求には困りました。社内でも、人事などに対して納得できる理由が欲しかったのでしょうね。かなりしつこく聞かれました。しかし実際は、自分はもう日本の会社の古い考えとか慣行にホトホト疲れただけなのです。

 

 

大手の日系企業で4年半を耐え抜いたドイツハーフは、もうそのカイシャで続けることができないほど、お腹いっぱいになってしまっていたのです。それをありのまま伝えるわけにもいかず、まっとうな理由に変えてその場をしのぎました。

 

 

自分が最後まで曲げなかったのは、「もうカイシャに残る意思がないこと」。そしてそれを一貫して伝えることでした。

 

 

そして、のべ3回ほどの上司達との面談を通した結果、退職の手続きへと進むことになったのです。(書面の『退職届』は最後まで必要ありませんでした)

 

 

…ここまで読んでいただけたらおわかりいただけたと思いますが、わたくしコダモンが経験した退職は、なんやかんやで円満退職だったのです。

 

 

4年半在籍した組織に対して「辞める」と伝えることは、もちろん簡単な作業ではありませんでした。それでも、退職までのプロセスに挫折するようなことは無かったのです。

 

 

しかし…。

 

 

もしその「退職」に困難が伴ったら…?

 

 


「退職代行」が必要なケースとは?

 

 

退職代行サービス自体は、以前から世の中に存在していたみたいです。

 

 

しかしながら、昨今はその需要がどんどん高まっている様子で、実際に「退職代行サービス」とネットで検索してみると…。

 

 

退職代行なら○○!

 

 

退職代行サービス業者○○はサービス内容が充実!

 

 

そのような謳い文句のサイトがたくさん出てきます。

 

 

退職代行サービスの需要が高まっている背景は…まぁ単純です。

 

 

 

退職したいのにできない人が増えているから

 

 

 

これが理由ですね。

 

 

わたくしコダモンのように円満退職できるケースは珍しいのでしょうか。もしかしたら、自分はラッキーなだけだったのかもしれません。

 

 

退職をするとなると、そこには「辞める側」だけでなく、「雇う側」の意思が大きく絡んできます。

 

 

要するに、辞めようとする社員に対して、本当に将来を期待しているから引き止めるような美談もあれば、高圧的に、半ば強制的に辞めさせないような真っ黒な会社も存在するわけです。

 

 

退職を決意した人の中には、タイミングの問題であったり、業務上の引き継ぎなどから「辞めたいけどなかなか言い出せない」という人もいるでしょう。

 

 

しかし、このくらいの問題は大抵時間が解決してくれます。

 

 

退職代行サービスに頼らなければならない人は、そもそも「自分で何とかできるレベルじゃない」状況に陥っている人が多いと想像します。

 

 

「あなたの代わりに、退職を遂行しますよ」というサービスの対価としてお金を払うので、利用者は「お金を払ってでも退職のプロセスを第三者に委託したい人」となります。

 

 

その背景には、やはり何らかのトラブルがあるのでしょう。

 

 

本来「退職したい」と考えている人は、既に転職活動を終えている段階です。普通であれば、次の仕事場を内定させてから正式に会社を辞めようとしますよね。でも、そのような恵まれた環境ではなく、パワハラやセクハラなどで心身を消耗して「今スグにでも辞めたい!」という状況に陥っている人もいるわけです。

 

 

退職代行を依頼する人のモチベーションは、様々だと考えられます。

 

 

退職をしたくてもカイシャの引き留めが強い

 

 

退職を伝える相手である直属の上司との関係が悪い

 

 

普段から恫喝まがいの説教を上司から受けていたり、「お前が辞めたら〇〇の案件はどうなるんだ?!」「誰が責任取るんだ?!」などの脅迫に近い引き止めに屈してしまう人もいることでしょう。

 

 

そんな時に、「もう自分ではどうにもできない!」となり、ワラにもすがる思いでプロに委託したくのるのかもしれません。

 

 


パワハラ上司とブラック企業に『代行』はアリ

 

 

「実際に相談に来る事例のほとんどは、この『パワハラ上司』による退職ケースとなっている。パワハラ上司は、退職代行を依頼する理由となっているだけでなく、退職の直接的な理由にもなっていることが多い。」(出典: 同上)

 

 

上司が日常的にパワハラをしている場合は苦手意識や恐怖心が強く、「退職」を面と向かって告げることはとても難しいと想像します。

 

 

残業や休日出勤を強要させる上司

 

 

仕事のミスを針小棒大に説教する上司

 

 

『教育』の度を超えたイジメのような指導を繰り返す上司

 

 

このような真っ黒な上司は、実際に多く存在することでしょう。そして、そのように日頃から恐怖心を植え付けられた相手に対して、退職という『最後通告』をつきつけることは、なかなか容易ではありません。

 

 

上司が原因で辞めたいのに、まずはその人物に対して「退職の意思」を真っ向からぶつけなくてないけない。その葛藤がさらにストレスとなって、退職がどんどん先延ばしになる。「辞めたいのに辞められない」というケースが長引けば、それは上司がパワハラをしているのと同じ事なのです。

 

 

昨今の売り手市場の環境では、新卒にしろ第二新卒にしろ、その採用も簡単ではなくなってきています。同時に、ブラック企業たちは公にリストアップされ、サービス残業なども厚生労働省の是正を受ける企業が増えてきている。SNSやネット掲示板の普及とともに、ブラック企業の肩身は狭くなっています。

 

 

そういった環境も手伝い、ブラック企業は人材の流出に過敏です。

 

 

ブラッキ企業で社員が「もう辞めたい…!」と思うことは当然の流れなのですが、雇う側も必死です。新しい人員を補充するとなると、また採用コストかかる。「コイツが辞めたら次が雇えないかもしれない…」と、ブラック企業は延命措置やあの手この手での引き止めにかかります。

 

 

このような悪条件が見事にマッチして、退職したいのに辞められないというドツボにはまってしまうケースがあるのです。

 

 

ただでさえキツイ職場環境と日々の業務で疲弊しているのに、「辞めることすらままならない」というのは、心身へのダメージがとても大きいでしょう。

 

 

そのような環境に長く身を置きすぎることによって、本当に病気になってしまってからでは全てが手遅れです。

 

 

辞めたいけど、それを考える時間も余裕もない時。

 

 

辞めたいけど、上司と顔をあわせるだけでも憂鬱な時。

 

 

辞めたいけど、もう自分ではどうにも対応できない時。

 

 

そんな時には、「退職代行サービス」にお金を払ってでも依頼して、自分は真っ先に避難したくなることもあるのかもしれない。

 

 

ちなみに、退職代行サービスの内容とは、基本的には「本人に代わって会社に退職の連絡をするだけ」とのこと。

 

 

代行側がカイシャに赴いたり、何かの交渉ごとを引き受けることは違法となるので、退職したい本人は退職届を郵送でカイシャに送付するのだそうです。退職者が「退職の意思」を雇用側へ明確に伝えた事で、法規的にはカイシャに継続して引き止める権利がなく、退職が成立するのだとか。

 

 

要するに、退職代行のサービス内容というのは、カイシャの責任者への電話の代行や、本人に対するアドバイスなのですが…それでも、お金を払ってでも今の辛い環境から逃げだしたい人はたくさんいる。

 

 

実際にブラック企業に勤めて、パワハラ上司や粗悪な職場環境を経験した人。その人本人にしかわからない辛い経験は、他人がどうこう口をはさむものではありません。

 

 

そこからの再スタートを考えた時に、退職代行サービスの存在はまさに『救い』なのかもしれません。

 

 

 

※(この記事は2019年9月にリライトされています)


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