"上司"も"顧客"も関係なく有給休暇を取得するのが海外

有給休暇がマジで取りづらい日本のカイシャ。ドイツ人は上司も納期も関係なくしっかり有給休暇取ってるよ?

プライベートが最優先な海外での有給休暇事情

 

 

コダモンです。

 

 

今現在(4月1日)、ドイツはイースターの真っ最中。イエス・キリストの死を粛々と悲しんで、そこから復活祭を祝うという、毎年恒例の流れです。

 

 

と同時に、国民が待ち望んでいる休暇シーズンでもあります。

 

 

学校はどこも数週間の休み。まぁ、いわゆる日本の「春休み」のようなものですね。

 

 

世の中の働く人たちも、このシーズンは聖金曜日からのイースターホリデーとなり、毎年4連休。

 

 

子供のいるご家族は、学校が休みということもあり、みなここぞとばかりにガッツリ休暇を取ります。毎年決まったルーティーンとして、誰もがこのシーズンに合わせて何らかの休暇の予定を組み、そしてしっかりと有給休暇をとっていく。

 

 

そんなわけで、今回はこの「休暇」に焦点を当てて、ドイツの有給休暇事情についてちょっとばかりお話ししようと思います。

 

 

有給がマジで取りづらい日本のカイシャ

 

 

日系の大手で一部上場のカイシャに4年半勤めていた、わたくしコダモン。

 

 

有給休暇だけはガッツリ取っていました

 

 

いやー……。周りからはかなり白い目でみられてました(笑)

 

 

それもそのはず。

 

 

カイシャと部署では、上司が「消化していない有給休暇が40日以上たまっている」と豪語していたような、ツワモノたちの集まっていたところです。

 

 

「残業」と「取らない有給休暇」が評価され、デスクにかじりつきながら働くような姿勢が「頑張る姿勢」として評価されるような、超ゴリゴリの日系企業でした。

 

 

有給休暇を取るのも、もちろん一苦労。周りの同僚たちは、おそるおそる上司に有給取得の可否を打診します。比較的大きなカイシャだったため、有給休暇の取りやすさも部署によって違うようでしたが……。コダモンが所属していた営業系の部署は、まぁ平均的といったところ。

 

 

それでも、「例外」がなかなか認められない閉鎖的な組織です。おのずと、周りのみんなが一斉に休むようなゴールデンウィークやお盆などに、少ない有給を取らされます。

 

 

「今忙しい時期だから」

 

 

「何のために休むの?なんか理由があるの?」

 

 

「部長に確認してOKでないと難しいなー」

 

 

あの手この手で「有給休暇をなかなか取得させない」日本のカイシャ。社内での雰囲気を作りも、よくもまぁここまで飼いならしたものだと感嘆するほど、どの部署も「見えないルール」に従います。本当はみんな、取りたいときに有給休暇を申請したいのに。

 

 

本来ならば、カイシャが忙しかろう何だろうが、有給休暇の取得にはまったく関係ありません。

 

 

有給を取るのに理由なんかいらないし。

 

 

有給取得は労働者の権利

 

 

これが当然の権利……のはず。……なんですけどね。

 

 

それすらも霞んでしまうような組織体制なのが、日本のカイシャ。

 

 

コダモンは当時、本当にゴリ押しで有給休暇を申請していました。その都度何らかの理由をつけて。

 

 

(合わせて読みたい)

 

 

何はともあれ、そうやって無理やり休みをとっていった結果、「周りの空気を読まない異端児的なハーフ」としてのポジション確立していました。ハーフという時点で「出る杭打たれる状態」だったので、その立場を逆手にとって、どしどし休暇取得をしました。まぁ、そうやって過ごせたおかげで、最終的に4年半を耐えられたんですけどね……。

 

 

当然の権利とわかっていても、申請しづらい日本の有給休暇。

 

 

上司も誰も休まない。周りは誰も有給を取ろうとしない。

 

 

そして、「顧客の納期厳守」や「周りに迷惑がかかるから」などというプレッシャーが上乗せされ、労働者にとって最悪の職場ができあがるのですね。

 

 

……。

 

 

あれは……。忘れもしない、年始の休み明けの初日。

 

 

年明けの初出勤時の、部署内での朝会での出来事です。

 

 

こんなことを言う上司に、マジでひきました:

 

 

「いやー1週間も休んじゃうと、どうも感覚がにぶっちゃってなぁ……仕事に戻るのも時間がかかってちゃって。正直面倒なんだよねー休むとさぁ」

 

 

……だとさ。

 

 

この人、長期休暇の後に仕事モードに戻るのが面倒だから「休まないほうが良い」って言ってたんですよ。

 

 

仕事の中でしか生き甲斐を見出せないのか…!?

 

 

おそらく、休暇中も仕事のことを考えているんでしょうね。一年を通して一度も心と体のリフレッシュをせず、知らず知らずのうちにどんどん消耗されていく……。

 

 

この上司のようなヤバい発言が飛び交うのも、日本のカイシャの特徴です。本当に驚きの連続だった。ネガティブな意味で。

 

 

……さて。

 

 

ではでは気を取り直して、さっそく比較までにドイツの有給休暇事情も見てみましょう。

 

 

休暇がいくらあっても足りないドイツ人

 

 

日本のカイシャと対極にいるのが、ドイツの企業たちです。

 

 

ドイツ人は、日々の生活の中でもプライベートの充実に全力を注ぐので、有給休暇は基本的にいくらあっても足りません。

 

 

有給休暇の所得可能日数は年間30日

 

 

これが、オフィスワーカーたちのスタンダードです。契約時の交渉次第では、もっともらえる人もいます。

 

 

そして、もちろんこれらの有給休暇は、毎年きれいさっぱり消化されていく。

 

 

日本のカイシャとは、どエライ差なのです。

 

 

この違いはいったいどこから来るのでしょう……?

 

 

まず、ドイツの企業では、年間を通しての「休暇プラン」がチームや部署の中で事前にシェア・共有されている場合が多いです。

 

 

具体的には、上司主導で「チームカレンダー」のようなものが作成されるわけです。そこに各々が、自分の有給休暇を記入していく。そして、そのカレンダーをもとに休暇日程とその申請が調整されます。

 

 

あくまで大事なのは、「有給休暇自体が却下されることはない」ということ。

 

 

このようなチームカレンダーの目的は、「休みをカブらせない」こと。要は、休んだ人の仕事を誰もこなせないような状況を作らないために、事前に業務委託できるメンバー同士の休暇を調整するわけです。

 

 

「俺は夏に家族と3週間休暇に行くから……」

 

 

「じゃあ私は6月あたりに早めの夏休みを取るわ」

 

 

といった具合。

 

 

そして、このようにして……

 

 

年間30日付与されている有給休暇は全て取得されていきます

 

 

休暇取得申請のベースが、そもそも日本とは大違いなんですよね。

 

 

上司は、そのカレンダーに則って申請された部下たちの休暇申請を、しっかりと承認します。こうして、部署内の誰もが漏れなく休暇を取得していくのです。

 

 

ドイツ、というか欧州の企業は、コンプライアンスと社員の「個」を非常に尊重します。

 

 

有給休暇の取得は、その最たるもの。

 

 

本当によほどの理由がない限り、有給申請は組織の中でしっかりと承認されるのです。

 

 

ドイツで有給休暇が取れないケースは皆無だが…

 

 

そんなドイツでも、例外はあります。

 

 

有給休暇を申請したら、上司から渋い顔をされるケース。

 

 

それは、コダモンの経験上、次のような場合です:

 

 

1) 仮病(医師の診断書付きの病欠)を使いすぎた

 

 

2) 大事な商談とカブる可能性がある

 

 

3) ブラック企業

 

 

1)は意外とよくあるケースです。これも、ドイツならではだと思いますが…。

 

 

ドイツでは病欠がやたら多い

 

 

これは、病欠が社会の中でも比較的寛大に見られる背景もありますが、そもそも病欠を申請しやすいということもあります。風邪でお医者さんに行くと、「3日くらい休みますか」と言って、すぐに診断書をくれます。そして、それがあれば、何の気兼ねもなく「3日間休み」が確約される。

 

 

……夢のようですよね。

 

 

ドイツで勤めていると、社内・社外関わらず、「〇〇さんは病気休暇をいただいています」という返事をしょっちゅうもらいます。そして、それがまったく非難されないのです。

 

 

……。

 

 

コダモンが日系大手のカイシャに勤めていた当時。業務の途中で体調を崩し、風邪で病院に行くときのこと。その時の上司に、「すみません、体調が悪くて…」と相談したら……。

 

 

しっかり半休を取らされました

 

 

カイシャ時代の苦い思い出です…。

 

 

何はともあれ、ドイツでは、その夢のような制度を逆手に取る輩もいるわけです。

 

 

そして、そのような病欠の回数があまりにも目立つものになると、人事の耳にもそれが届く。

 

 

まぁ、あとはわかりますよね。あまり調子に乗りすぎると、勧告へとつながります……。

 

 

次に、2)のケース。

 

 

大事な商談とカブる可能性がある場合も、もしかしたら上司がしぶるかもしれません。

 

 

これは、コダモンもドイツの企業に転職後に実際に経験したパターン。

 

 

「9月は、〇〇の案件の受注が決まるか決まらないかの瀬戸際になる時期だ。できれば、その交渉の場には担当のお前に参加してもらいたい」

 

 

こんな具合。

 

 

まぁ、これも日本とは違って非常にさっぱりしたものです。というか、正直コレはよっぽど大事なビジネスでなければ起きないケースですね。

 

 

そして最後に、3)のブラック企業。

 

 

これは、もう読んだままです。

 

 

ドイツにも、もちろんブラック企業は存在します。

 

 

30日がスタンダードの有給休暇取得日数を、「ウチは20日だ」と押し通してサインさせようとする企業や、実際に入社したら、有給休暇がまったく取れないマネジメントがされている企業など。

 

 

それでも、このようなケースを耳にすることは非常に稀です。

 

 

ドイツでは、基本的に「有給休暇が取れないケース」は皆無なのです。

 

 

上司も顧客も関係ない!

 

 

ドイツ社会における、「有給休暇の取得」に対する理解度も、日本のそれとはまったく異なります。そして、その違いが、有給の取得し易さに直結している。

 

 

コダモンが勤めるドイツのカイシャでの、とある出来事についてお話します。

 

 

……。

 

 

いつも隣に座っている女性社員が、チーム内で決めたカレンダー通りに休暇を申請・取得した時のことです。

 

 

その女性社員はもともと、チームの中でビジネスに支障が出ないタイミングで休暇を取っていたのですが……。彼女が担当するプロジェクトの進行具合が芳しくなく、顧客にとって非常に重要なスケジュールと彼女の休暇がカブってしまったのです。

 

 

もう既に承認が下りていた、その女性社員の休暇。

 

 

彼女はどうしたかというと……。

 

 

 

もちろんしっかり休暇へ出かけた

 

 

 

ルンルンしながら休暇に飛んでいきました。

 

 

そして、休暇へと出かけたその日……。隣のデスクの彼女の電話は、一日中鳴りっぱなしでした。

 

 

社用ケータイもオフにして、完全にバカンスを楽しんでいた、その女性社員。

 

 

しかし、そのタイミングは非常に悪く、結果的に顧客を怒らせてしまいました。

 

 

「もうすでに2週間も前からスケジュールの遅延が明白で、我々の大事な納期が来るとわかっているのに、なぜ対応しなかったんだ!」……と。

 

 

こういう事態は、ドイツでも起こり得るのです。

 

 

 

しかし、ここからが日本とは違った。

 

 

 

その顧客は、こう続けました:

 

 

 

「〇〇さん(女性社員)が休暇に行くことは事前から知っている。そこが問題なのではない。なぜあなた達は代替え案を準備していなかったんだ!?」

 

 

……。

 

 

そうなんです。

 

 

冒頭にも説明した、「休暇をカブらせない」という、ドイツでの休暇取得の重要項目。この部分がうまく機能しなかったケースだったのです。

 

 

その女性社員の業務内容は、我々のチームの中でも技術寄りだった。そして、コダモンたちの営業チーム内では、そもそも彼女のタスクをカバーできる体制が整っていなかったのです。そして、さらに運が悪いことに、社内の別部署でそれを担当する予定だった技術者が、病欠となってしまった。

 

 

ドイツで病欠(病気休暇)が横行していることは、先に述べた通り。

 

 

その結果、最終的に顧客対応が完全にストップしてしまったのです。

 

 

これは、もちろんイカン事です。イカン事…なのですが……。

 

 

これを目の当たりにした時に、コダモンは顧客の反応に興味を持ちました。

 

 

「休暇を取ったのが問題ではない!」という、お客さんの発言。

 

 

コレが、「ドイツならでは」だと思うんです。

 

 

年間を通してリフレッシュの意味も持つのが、ドイツの有給休暇。その「取得して当然」である有給休暇に対して、誰も文句を言えません。それは、大企業も中小企業も関係なく、また当事者が発注側でも下請けでも関係ありません。

 

 

休暇を取ることに非常に理解度がある

 

 

それがドイツです。

 

 

怒ってしまったお客さんも、担当していた同僚の女性社員が「休暇に行ったこと」に対しては、その怒りの矛先を向けていなかったのです。

 

 

……。

 

 

いかがだったでしょうか?

 

 

日本とドイツの「有給休暇事情」の差。社会の中での理解度もさることながら、その組織体制とマネジメントに雲泥の差があります。

 

 

コダモンのように、両極端な経験をしているケースは稀だと思うんですよね。

 

 

日本のカイシャのヤバい事情と、ドイツの自由な休暇事情。

 

 

実際に日本のカイシャに4年半就職してみた身として。そして、その後外資系企業に海外で転職してみた身として、しみじみと実感しています。

 

 

ドイツでドイツの企業に転職してみてわかった、本当の意味での「ワークライフバランス」の実現。

 

 

休みを自由に取れることにより、ハードなビジネスの現場も、リフレッシュしながら継続できるのです。

 

 

ワークライフバランスがまだまだ皆無な日本のカイシャたち。

 

 

グローバルスタンダードがゆっくりと浸透する中、「働き方」が今後しっかりと改善されることを祈るばかりです。

 

 

コダモン