ハーフがカイシャに就職してみた_第12話_転属されてみた

ハーフが「カイシャ」に就職した話。入社たった数ヶ月で転属になってみた。

ハーフが転属になってみた

 

 

コダモンです。

 

 

ハーフであるコダモンが、日本で日系大手のカイシャに就職してみた話。

 

 

第12話:カイシャでさっそく転属されてみた。

 

 


 

 

配属されて1ヶ月半。

  

  

相変わらずコダモンの業務はフラフラしていました。

  

  

いや…こちらはフラフラするつもりは毛頭無いのですが……。

  

  

いつまで経っても明確なタスクができなかった

  

  

ドイツハーフを完全に持て余してしまった、日本のカイシャ。

  

  

しかし同時に、けっこう大きなイベントに参加していました。

   

 

社長のドイツ出張について行った

 

 

今でも覚えている、入社当時の一大イベント。

 

 

それは、社長のドイツ出張についていった事でした。

  

  

従業員数が世界で数万人にものぼる大きなカイシャだったので、その規模の社長の出張に新人がついて行くのは、かなり珍しかったみたい。

  

  

それが決まった当時は、部長さんとかにも「お前スゲエな…」と言われた。

 

 

そもそもその当時、ドイツハーフが入社した事は、都内の本社勤務であったためか、そのままけっこう上層部まで知れ渡っていた模様でした。

 

 

役員面接もあったし、もしかしたらそこで話題になっていたのかも。

 

 

何はともあれ、その当時の社長の海外出張に関しては、恐らく上層部の人たちが、そのスケジュールを組む際に…。

 

 

「例のドイツハーフ、社長の出張にくっつけたらどう?」

 

 

…みたいな話になっていたと想像する。

 

 

入社後はあまり仕事も無かったし、業務を高く評価されて抜擢された…というわけではなかったはずです。

 

 

いずれにせよ、「グローバルに活躍してやる!」という目標は、自分の中ではバリバリに健在だったので…。この出張が決まった時は、けっこう嬉しかった。

 

  

ちなみに、この時の社長ドイツ出張ですが…。 入社して2ケ月足らずでカイシャのトップとお近づきになれたのは、やっぱり予想外だった。

 

  

コダモンが選抜された背景には、もちろんドイツ語能力が関係しています。

  

  

ドイツ顧客の「大規模なイベント参加」が目的だったその出張は、終始和やかムードでした。社長は招待された側。そのため、コダモンがやる事といったら通訳とアテンドくらい。ビジネスの場に携わるわけではなく、あくまでサポートだったのです。

 

 

その出張自体はお気楽でした。

 

 

宿泊するホテルも、もちろん社長と同じ場所。そのため、どの部屋も超高給なスイートに、平社員のコダモンも宿泊しました。

 

 

自分住んでいる都内の1Kの部屋の4倍以上も大きい部屋に、1人で宿泊。

 

 

ただし、フライトはコダモン1人だけエコノミー。(当たり前か)

 

  

それでも、ビジネスの交渉などがメインでは無かったため、社長の外遊に付き合っているような感覚で、単純に楽しかったです。

 

 

最後は社長とも仲良くなって、「ちゃん」付けで呼んでくれたし (笑) 

 

 

いろいろと勉強にはなったのですが…。 

 

 

この社長出張の時に、今でも覚えている失態がひとつ。

 

 

集合場所であった成田空港で、社長をラウンジに迎えに行った時に…。荷物持ちをしなかった事です。

 

 

これは後から「アレ…」と気づいたのですが。その後にお偉いさんがゾロゾロと集まってきた時に、彼らが率先して社長の荷物を持ちたがったのです。コダモンがダントツで若輩者なのに。

 

 

「はぁー…」

 

 

やっちまった。

 

 

この時はなぜか、荷物持ちをしたら「ゴマをすっている」ような感じがしてしまっていたのです。

 

 

それでも、さすがに後々考えたらマズかったなと思いました。社長本人はまったく気にしていなかった模様ですが。

 

 

カイシャのポジションとか関係なく、社長くらいの年配の人を「いたわる」気持ちで荷物を持ってあげるのが、やっぱり普通ですよね。

 

 

…。何はともあれ、配属後のコダモンの初仕事は、社長出張への同行でした。

  

 

しかし、この出張を「業務」と定義できるか? と言ったら、それは別物。

  

  

ドイツハーフが社内でちょっと有名になった程度で、依然コダモンの部署内でのタスクは不明なままでした。

  

  

 

 


ヒマを持て余す事態に困惑

 

  

所属していた部署は、その名の通り、自社製品の海外向けビジネスを促進させるための部署です。 ビジネスをグローバルにサポートする部署。

  

  

そして、そこに所属していた人員や背景は様々でした。

  

  

例えば、上司のセコさんは、根っからの技術畑の人。

  

  

また、ドイツ人の同僚は、数年前に他社から引き抜かれてきた、ドイツ顧客事情と業界に精通している、営業寄りの人。

  

  

チームをまとめる部長さんは、コダモンと同じく新参の中途採用者で、製造の現場に強かった人。

  

  

このように、部署内の各々の人が、その専門分野に特化した何らかのタスクに取り組んでいたのです。

 

 

それはそれでいいのですが…。チームとしての動きはほぼゼロ。

  

  

そもそも、技術的なバックグラウンドが全く無いコダモンは、上司のセコさんから学べることはほとんどありません。機械工学やら何やら、学んだことすらない。

  

  

いきなり製品の図面を開いて説明されたって、チンプンカンプン。

  

  

そもそも…。自分には、このカイシャで技術営業が必要とされているのか…? それすらも不明。

  

  

完全な宙ぶらりん状態 

  

  

この当時は、まさに空白の2ヶ月でした (笑)

 

 

社長出張への同行の他には、正直なにも覚えていない。それほど、この時の自分は業務的には何もできていない状況でした。

 

 

ドイツの大学を卒業してから、「ストレス大国ニッポン」を自分の目で確かめるために、中途で入社。そして、新入社員研修を終えて配属となり…。カイシャで予想される激務に対して、終始身構えていたコダモン。

  

  

しかし……。

  

  

激務となるどころか、ヒマをもてあそぶような状況になってしまったのです。

 

 

さっそく訪れたカイシャでの転機

 

 

宙ぶらりんになってしまった理由には、日本のカイシャ特有の育成制度も関係しています。

  

  

当時のコダモンは、「語学」と「海外経験」という、他に比べたらマネできないスキルは突出していました。しかし、ビジネスの基盤となる営業的な知識は欠けていた。中途採用だったのですが、その部分に関して言えば、まだまだ "OJT" と "Off-JT" が必要だったのです。

 

 

要するに、カイシャを知るための実務経験が足りていなかった。

  

  

営業に必須な見積書ひとつとっても、自社製品とそのCBD(コストブレークダウン)の内容を理解できていなければ、何の役にも立ちません。

  

  

そんな当然の事も、当時はまったくわかっていなかったし、誰も教えてくれなかった。

  

  

実際に職場で業務をこなしながら、上司や先輩がマンツーマンで行う教育訓練。そんな訓練を、当時の部署では試みていたフシはありました。

  

  

しかし、それは対象者に対する教育方針(将来担わせるべき仕事のビジョン)が明確な場合にのみ可能であり、また、教育する側のスキル不足や「畑違い」などのギャップが生まれると、期待通りの育成には結びつきにくいのです。

  

  

コダモンは「営業寄り」の活躍を期待されていました。しかし、担当となった上司のセコさんは、完全に技術の人…。

 

 

このような状況で、学ぶことは限られていました。

 

 

「仕事は見て覚えろ」などと言われたって…。技術的なことを見て覚えたところで、それが自分のキャリアに役立つかどうかさえ不明です。

 

 

……。

 

 

部署内で閲覧できるファイルや資料をあさる事にも飽きてきた、配属2ヶ月半の頃…。

 

 

その日は突然やってきました。

 

  

それは、コダモンが社長出張に同行してから、数週間が経った日のことです。

  

  

ちょうど、配属後2ヵ月半くらいの時の事。

  

  

事業統括部長や部長たちが集まって、何やらしきりに話し合っていました。  

  

 

コダモンのデスクからは、その会議室が丸見え。

  

  

上司たちが戦略を練るために使われるその会議室では、日頃から頻繁にビジネスについての議論がされていました。そのため、その時は「んー? なんかやってるなぁ…」くらいの感覚で、別段気にもしませんでした。

  

 

……と、そんな矢先。

  

  

その会議室から、オエライサンがコダモンの方へ向かって「ちょいちょい」と合図してきます。

  

  

「ちょっとこっち来てくれ」の合図

  

  

む……。

  

  

「なんだろう?」

 

 

そこに集まっているのは、役員も含めたおエライサンたちです。

  

 

隣にいた同僚のドイツ人も、「お前あそこに呼ばれるのか…」というような顔つきで、意味深な表情で目くばせをしてきます。

 

 

とりあえず、呼ばれるままその会議室に入ります。

  

  

そこでは、欧州ビジネスにおける新規製品のマーケティングについての議論が行われていました。具体的には、これまで他分野で使われていた製品を、まったく新しいフィールドで実用化できないか?…というような内容。

 

 

会議室に入っても、議論はそのまま続いています。

  

  

「ふんふん」と、頭では理解しても、例の如く自分のタスクにつなげられない、わたくしコダモン。

  

  

会議室に呼ばれた理由がわからない

  

  

おエライさんたちは、コダモンが入室しても「あーだこーだ」とやり続けています。

  

  

いつもの通りメモを取ってみるものの、その内容はどれも「ふーん…」という感じ。

  

  

……と、その時。会議室の真ん中でふんぞり返って座っていた、他部署の事業部長が口を開きました。

  

  

「いやだからね、このように実績はすでにあるわけですよ。技術的にも、この製品を新しい分野で横展開するのには何の問題もない…」

  

  

けっこう強い口調です。

  

  

すかさず、ウチの事業部長が返します。

  

  

「そうかもしれませんが、その製品を売り込んでいくには時間も労力もかかる。『はい、この新しい技術使ってくださーい』というわけにはいきません。技術と購買、両方のサイドを攻める必要がある。様々なテストをパスして、なおかつ顧客にコスト的なメリットも提示できてはじめて、ビジネスとして売り込んでいけるんです」

  

  

うんうん。わかるわかる。

  

  

コダモンは、促されるまま、議論が行われていた会議室の片隅にチョコンと座っていました。

  

  

まぁ、また「とりあえず会議に参加してくれ」の一環だろう…。

  

  

そう高を括っていました。

  

  

やる事と言ったら、メモを取って情報収集するだけ。

  

  

すると、その時……! 

  

  

「…とうわけで、欧州に進出するにしても、その事前準備は必須です。そこでカギとなるのが、そこに座っているコダモンです!」

  

 

…。

 

  

「……えっ!? 俺??」 

  

  

会議室中の視線が、一気にコダモンに集まります……。

 

 


カイシャ生活を変えた「会議」

 

 

会議から遡ること、2ヵ月。

  

  

コダモンが配属された当時。そのビジネスユニットのトップ、役員でもあった上司から、こう言われていました。

  

  

「ウチのビジネスは全体的に発展途上だから、色々これから決めていく部分も多い。ただ、最終的にはコダモンにはその語学力を活かして欧州ビジネスを促進させて欲しいのだ…」

  

  

……と。

  

  

そのため、カイシャ側には「コダモンをじっくり育てていく必要があるかもしれない」という、ある一定の理解がある。そう言われていました。

  

  

もちろん、こちらはウェルカムです。

  

  

いろいろ学ぶ必要があるのは、百も承知。

  

  

しかし……。

  

  

それからというもの、英語もロクに話せない、上司で技術屋のセコさんの元、何をしたらいいのかすら不明な期間が続いていた。

  

  

カイシャ側は、それを見て見ぬフリをしていたのでは無く…。「カイシャの事業方針」が定まっていないこともあり、なかなか介入できずにいたのです。

  

  

そんな環境下で、突如やってきた、会議室でのシチュエーション。

  

  

「事業の欧州進出のカギとなるのが、そこに座っているコダモンです!」

  

  

……話を会議室に戻します。

  

  

ドイツハーフとして入社したコダモンの存在は、当時から既に部署を通り越して、本社内の様々な関係各所へ伝わっていました。こちらは意識していなくても、相手側にはその存在が知れ渡っている。

  

  

まぁ、物珍しさも手伝ったのでしょうね。

  

  

いずれにせよ、その会議の場にいたエライサンたちは、気づいていたのです…。

  

  

「欧州ビジネス = コダモンが絡むタスク」だということを。

  

  

何しろ、「グローバルビジネスプランニング」と名のつく部署にですら、英語を話せる日本人日本語を話す外国人がいない状況です。

  

  

そんな人員で…。どうやって海外ビジネスをプランするんだ (笑) 

  

  

何はともあれ、グローバルな人材が皆無だった、そのカイシャ。そんな中、コダモンが語学力を活かせるシチュエーションは、誰の目に見ても明らかでした。

  

  

会議室が一瞬「シーン」となった後、さっきの他部署のおエライさんが言いました: 

  

  

「でもねぇ……。まだウチのカイシャに入ってたった2ヵ月でしょ?」

 

 

うむ。ごもっともな指摘です (笑) 

  

  

そう…。コダモンにはグローバルコミュニケーションのスキルがあった。ただ、カイシャのビジネスを引っ張るために必要なモノが圧倒的に足りていなかったのです。

  

  

その足りない要素とは:

  

 

社内における実績作り

 

 

自社製品と製造現場を考慮した立ち回りとノウハウ

  

  

顧客を巻き込むビジネス経験

 

 

この3つ。

  

  

これらは全て、"OJT" を通しながら、ビジネスに携わってから取得できる経験。社内外の人間と密にやり取りをしてはじめて、身に着けることのできるスキルと経験です。

  

  

後々のビジネスを担っていく中でも、非常に大事。

 

 

自社製品を最前線で売り込むにあたっては必須レベルの経験です。

 

 

それが、コダモンには欠けていた。

  

  

そして、事業部のトップの人たちは「教育が必要」だと認識していたわけです。

 

 

要するに…。

  

  

「コダモン、お前はもっとカイシャの中身と仕組みを知れ!」ということ。

  

  

古い伝統を持つこの日系大手のカイシャでは、「下積みを経験してナンボ」という考えを持った古参の社員が、意見を通せますしね。

  

  

……。

  

  

その会議が終わったあと、部長さんとトップの人を交えて、話し合いが行われました。

  

  

そこで議論された内容は、「正しいコダモンの使い方」。

 

 

ここから、コダモンのカイシャ生活は一気に激動の道を進むことに…。

  

 


カイシャで転属されてみた

 

 

まず、そのビックリな結論から:

  

  

コダモンは営業部へ転属  

  

  

営業部へ転属…!! 

  

  

自分のことながら、マジで衝撃的な結果でした。グローバルに活躍しようと思っていたのに、「国内」も相手にする営業部に行く事になるとは…。

   

 

この結論にいたるまでの過程は、次の通り。

  

  

①まずは、カイシャと製品を「ビジネスを通して」熟知する必要アリ

 

②そのために「営業活動」をドップリ経験してみる

 

③社内の仕組みを一番早く体感できるのは、昔ながらの国内営業

 

④いつかはドイツに行ってもらうから、それまでは③で修行!!

  

  

という具合です。

 

 

要するに、コダモンの能力のベースとなっていた語学と海外経験は素晴らしいけど、「君はカイシャの人間としてはまだ使えないよ」と、暗に言われているのです。

  

  

「うーむ……」

  

  

その結論は衝撃でしたが…。当時のコダモンは、この転属宣告を意外とすんなり受け入れました。

  

  

なぜなら、上の①~④が自分にしっくりきたから。

  

  

どうせ宙ぶらりんだったし、セールスとマーケティングを学んでみたかった。そのため、営業部への転属はウェルカムでした。 勤務先は本社で変わらないし。

  

  

ただ…。「グローバルビジネスサポート」から「国内の営業部」への転属という急転直下な流れには、ビックリしました。

  

  

どれだけノープランだったんだこのカイシャは(笑)

  

  

自分の長所である、グローバルコミュニケーションと語学スキル。それがまったく意味のなさない「営業部」への転属です。

  

  

いくら学びのためとは言え…。また、将来の自分のキャリアのためと言えども…。一抹の不安を覚えます。

  

  

なぜなら「国内営業」の意味するところは……。

  

  

日本人の顧客対応

  

  

…。大丈夫なのか……? 

 

 

ドイツで自由な空気を吸って大学を謳歌してきたハーフに、ズブズブの営業活動ができるのか…?

  

  

ドイツハーフに、ゴリゴリの日本のお客さんの相手が務まるのか…? 

  

  

身から出たサビとはいえ、やっぱりちょっと心配。

 

 

……。

  

  

事業部のトップの人からは……。

  

  

「もちろん、いつかはドイツに行ってビジネスの促進と拡販をしてもらう。その下準備として、まずは自社製品を既存のビジネスを通して学んでくれ」

  

  

そう言って、肩を叩かれました。

 

 

その期待には応えてみたい。

  

  

しかし、その「下準備の期間」がどれだけ長くなるかは、もちろん自分の努力次第。

  

  

……。

  

  

ここから、コダモンの「本当のカイシャ生活」がスタートしていきます。

  

  

営業部へと転属となってから、「日本のカイシャ」をまざまざと体験することになるのです……!!