ハーフが会社に就職してみた_第4話〜大学編4〜

ハーフが「カイシャ」に入る前の話。ドイツの大学では誰もかまってくれない状況を経験してみた。

 

「日本的な考え方」で置いてけぼり

 

 

コダモンです。

 

 

ハーフであるコダモンが、日本で日系大手のカイシャに就職してみた話。

 

 

第4話:〜大学編〜 ドイツの大学でシゴかれてみた。

 

 


 

 

ドイツでさっそくコトバの壁にぶち当たったコダモン。

 

 

学業と並行して、ドイツ語を学びなおすことになりました。ドイツ人の知り合いとひたすら一緒に時間を過ごしたり、図書館に引きこもって勉強したりしながら。

 

 

そんな事を続ける事。数ヶ月。「語学の課題」は何とか克服できたからよかったのですが、さっそく次なる問題が……。

 

 

それは、「初めての海外生活」です。

 

 

ハーフであるコダモンは、生まれと育ちは日本です。

 

 

日本にいた時に唯一「海外」に触れる機会と言えば、夏休みにドイツへ帰省するときだけ。しかし、それはあくまで旅行のような感覚であって、数週間ドイツの実家で過ごした後は「日本への帰国」が約束されたものでした。

 

 

しかし、今回はまったく話が違う。

 

 

単身ドイツへ渡り、大学生活をまっとうしなければならないのです。しかも、初めての海外生活というオマケ付きで。

 

 

意気揚々とドイツへ渡ったのは良かったのですが……。

 

 

「まず何をすればいいの?」

 

 

そのような素朴な疑問からスタートする事になってしまったのです。

     

 

平和ボケした日本人(ハーフ)には、厳しい現実が待っていました。 

 

 

大学生活で頼れるのは「自分」のみ

 

 

まず、ドイツの大学では、一部を除いて……。

 

 

入学試験が存在しない

 

 

日本とは、「大学へ入学するまでのプロセス」と、そのシステムが根本的に違います。

 

 

そもそも、大学へ行く資格を持っているか否か。ドイツでは、いわゆる中学~高校あたりの成績が関係してきます。

 

 

大学へ進学するには “Abitur“ と呼ばれる大学入学資格試験に合格する必要があります。

 

 

この資格』というところがポイントです。

 

 

あくまで資格であって、日本でイメージするような「入学試験」ではありません。

 

 

この"Abitur"試験は、おおまかに言えば「高校卒業の集大成」のようなモノ。各科目の試験を行い、それぞれに成績が与えられます。

 

 

しかし、「その成績と大学進学は無関係」というのがミソ。

 

 

要するに、仮に合格ギリギリの悪い点数でも “Abitur“ さえゲットしてしまえば、誰でも基本的には大学へ進学する「資格」が得られるのです。

 

 

唯一の例外は、医学部。ここだけは、その “Abitur“ の良し悪しで進学が左右されます。

 

 

そんなわけで、ドイツでは高校時代に「人並程度」に勉強して結果が出ていれば、けっこう誰でも大学へ行けるのです。医学部を除いた、どの都市のどの大学へも。

 

 

何はともあれ…。

 

 

大学入る事自体はとってもカンタンなのです。



けっこう誰でも大学には入れます。

 

 

これがどういう事態を招くかと言うと…。

 

 

大学側は完全に受け身

 

 

日本の大学のように「ウェルカム姿勢」がドイツには無いのです。入学式などのイベントも無く、簡単なオリエンテーションだけで終わり。

 

 

日本のように、ご丁寧に合格通知書とともに必要書類が一括して送られてくるようなケースもありません。

 

 

そのため……。

 

 

大学探しも入学手続きもすべて自分次第なのです。大学側からは何のアプローチもありません。

 

 

本当に誰も何も教えてくれないんですよ (笑)

 

 

必要な書類や期日などは全て自分で調べて、必要ならば事前に自分の足で大学へ赴き、構内をうろつきながら一つ一つ入手します。

 

 

あくまで(古い)例ですが、コダモンの場合は大学へ赴いて:

 

 

1. 入学に必要な資料収集や学生証関連、各種届出を事務局で

 

 

2. 学生寮に住むための事前予約・登録を学生会館で

 

 

3. 専攻すべき科目と、入学時期(前・後期)に合わせた受講スケジュールを、講師・教授との事前調整で

 

 

……というように、学期開始前の休みの期間に、一つ一つ地道にそろえました。

 

 

これがホントに大変だった。

 

 

何しろ、こちらはドイツに着いたばかりでまだ右も左もわからない状態です。日本から来たハーフは、見た目は外国人でも中身はついこの間まで『日本の高校生』。

 

 

平和ボケしていた思考を、一気にフル回転させる必要がありました。

 

 

誰もかまってくれないし (ボソ…)

 

 

大学の後期からの入学だったのですが、それが始まるのは9月の後半。前期と後期の両方で入学ができるドイツの大学ですが、後期のタイミングで入学する学生の方が多いのです。そのため、8月いっぱい駆けずり回ることになりました…。

 

 

ちなみにこの期間は、大学側も基本的には休みなので、タイミングをうまく見計らわないと、完全にその機を逸します。

 

 

期日までに必要書類を自分で揃えて提出しないと、大学側は何のアラームも発してくれません。のほほんとしてたら、おいてきぼり。

 

 

こちらから情報収集をしないと、スムーズな入学すらままならないドイツの大学。それでも、ギリギリで全ての申請が間に合い、ホッと一息。

 

 

なんとか入学はできましたが、本当にウカウカしていられません。

 

 

苦労もありましたが、この入学前の準備で一気に目が覚めました。



ドイツ、恐るべし。

 

 


自分から行動しないと何も起きない

 

 

日本でもウワサに聞いていた、海外の個人主義的なスタンス。

 

 

それを、大学に入学する前から『まざまざ』と見せつけられました。

 

 

入学手続きを対応する大学側のドイツ人も、学生達でごった返す会館の中でストレスむき出しです。

 

 

「えっ!? 何!? あなた書類揃ってないじゃん。はい次の人!」

 

 

このような超塩対応で、全く相手にしてくれないドイツ人担当者。

 

 

「ちょっ…、ちょっと待って!」



つたないドイツ語を全力で駆使しながら、何とか食い下がるコダモン。

 

 

ここで引き下がってしまったらまた長蛇の列の最後尾に並ばなきゃいけないし、そもそも追い返された所で『何が足りないのか不明』です。



「足りないって何が? 紙に書いて教えて!」


 

イライラしている事務のおばちゃんに必死に泣きつきながら「情報」を引き出します。

 

 

…ドイツに渡ったばかりの時は、こんな事の繰り返しでした。自分から情報を取りにいかないと大学側は何もしないし、『サービス精神』なんてさらさら持ち合わせていないのがドイツ人。

 

 

大袈裟な話ではなく、そこで頼れるのは自分だけなのです。

 

 

このように、入学の手続きだけでも大変なのに…さらに驚愕の事実が待ち受けていました。

 

 


誰も面倒を見てくれない

 

 

日本の学校でぬくぬく過ごしていたコダモンには、もう一つの試練がありました。

 

 

それは…。

 

 

大学をどの期間でどのように卒業するかも自分次第

 

 

という事実です。

 

 

コレ、わかりますかね?

 

 

要は、何もしなかったら何年でも居残り。そして、(おそらく)いつか大学から除名されます。

 

 

基本的に4年で卒業していく日本の大学とは、根本から違うシステム。ドイツでは小学生でも留年させられるので、大学生ともなると超シビアです。

 

 

いや…システムというよりも、コレが海外の現実です。自分からアクションを起こさないと、周りは基本的に何もしてくれません。

 

 

様々なことが一気に押し寄せて来て…。当時のコダモンはもうパニックです。

 


しかし、自分で何とかするしかない……。

 

 

まず手をつけるのは、講義の選択と卒業までのおおまかなスケジュール作り。これをしっかりやらないと、おいてきぼり。

 

 

周りの学生に聞きながら進めることもできますが、ドイツの学生は皆通常の講義に加えて、インターンシップなどを大学生活の中で予定します。要するに、様々な計画込みの「自分だけの卒業プラン」を作っているわけです。

 

 

そのため……。

 

 

・今現在の自分の力量とキャパシティ

 

 

これを考慮しながら…

 

 

・卒業後のおおまかな仕事の分野/就職先

 

 

これがどのフィールドになるのかを想定し…

 

 

・自分に適した自分だけの大学スケジュールを組む

 

 

ということになります。

 

 

どのくらいの詰め込み方が自分に合っているのか? どの専攻が自分のビジョンとマッチしているのか? 卒業試験の課題をタイミングで決める必要があるのか…?

 

 

これら全てを、自分との相談で決めるのです。



これを知った時には「ほぇ〜」という感じでした。頭では理解していても、実際に何をすればいいかわからない。

 

 

それでも、仲良くなった先輩からアドバイスをもらいつつ「無難」に単位を取っていく計画を立てました。

 

 

ドイツでは、試験や小論文の結果が芳しくないと容赦なく再受講。卒業時期がどんどん先延ばしになります。それを聞いた時には戦々恐々としたものです。

 

 

ドイツの大学では、同じ講義を受けていても「隣の学生が実は2年3年も先輩でした」というような環境は、全く珍しくない。

 

 

大学側は基本的に面倒を見てくれない

 

 

これも、海外ならではのハードルの高さ。グローバルで勝ち抜けるスキルを持つ人材は、学生時代から鍛えられ、ビジネスの現場へと輩出されていくのです。

 

 

 


ドイツの大学で身についた「自立性」

 

 

そんなこんなで身についたのが自分で考えて行動するチカラです。

 

 

ドイツの優秀な学生に囲まれながら、多国籍な環境で荒波にもまれることで、一気に開花しました。というか、強制的に身につけました。

 

 

日本から来たばかりで赤ちゃんみたいに無知だった当時の自分。大学への入学も、単位の取得も、卒業も、自分から行動を起こさないと何ひとつ達成できませんでした。

 

 

大学以外にも、お役所での届け出などから学生寮での自炊まで。一人暮らしには当たり前な『生活に必要なこと』も、慣れない海外で最初はとても戸惑いました。

 

 

苦労も多かったですが、その当時の経験は今でも非常に役立っています。

 

 

海外では当たり前な個人主義。それは、悪く言えば、他人に無関心。良く言えば、そこで暮らす人には『自分で解決するチカラ』が身につく。

 

 

日本の学校で教わった集団行動なんかは、見る影もありません。

 

 

そんなドイツ社会では、学校生活から既に「個の戦い」が始まっているのです。

 

 

大学を好成績で卒業するのも、10年かけて卒業するのも、ドロップアウトするのも…全て自分次第。

 

 

周りに合わせず全て自己責任で決めていく

 

     

コダモンも、その波に乗りながら、ドイツ学生に混ざりながら「自分で解決する力」に自信をつけました。



…。

 

 

大学卒業後には日本のカイシャに就職しましたが、そこでは学校の延長を連想させました。

 


「◯◯係」とかが存在したり。年功序列や先輩後輩の関係があったり。

 

 

入社当時に拍子抜けしてしまったのを、今でも覚えています。まさに、高校生活に逆戻りしたような気持ち。

 

 

「これがウワサに聞いていた『日本の社会人』なのか……??」

 

 

詳細は追ってお話しますが、ドイツから日本に戻って就職したハーフにとって、日系企業の中身は衝撃でした。

 

 

最終的に4年半でカイシャがお腹いっぱいになって辞めたのも、この「学校の延長」のような環境も遠因になっています。

 

 

集団行動の弊害もたくさん垣間見えた、日本のカイシャ。ドイツで身に付けたスキルは、果たして日本の会社で通用したのか…?

     

 

ちなみに、このお話はゆくゆく「大学編」から「カイシャ編」へと続きます。

 

 

ドイツハーフが日系の一部上場企業に4年半就職してみた話は、これからタップリお伝えします。

 

 

大学編は、もう少しだけ続きます…。